偉大な先人達から学ぶ「いのちの言葉」
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さて、今回あなたにお伝えしたい「いのちの言葉」はこちらです。
自分が誰かよりも弱いことを実際に認めなければ、日本人は、自分が劣っていることを認めないだろう。
誰かより弱いことを認めるならば「なぜ弱いか」を学べるのだが、日本人は自分が誰かより劣っていることを認めるのを嫌がるのだ。
(イビチャ・オシム)
僕の人生の師として勝手に尊敬しているひとり。
サッカー日本代表の監督を務めたイビチャ・オシム氏の言葉です。
ここで彼が我々に伝えてくれているのは
自分の弱さ、自分の至らなさを認識し、受け止めるからこそ、それを乗り越え、成長することができる。
というものです。
まあ言うのは簡単ですが、なかなか簡単ではない訳でして。
最近、世間は
- セクハラをしたエリート官僚や火に油を注ぐエリート政治家
- セクハラをされた部下を守れないエリート管理職
- 自らの失態を顧みず他人の暴言ばかりのエリートマスコミ
- 代表を強くできないサッカー協会のエリート幹部
といったエリート達の体たらくで賑やかですが、彼らのように勉強ができ、いい大学を出て、国や社会や文化を作る重要な仕事に就いている人達ですら、このような悲しい体たらくに陥っているのが現状です。
僕は彼らと知人でも何でもないのですが、彼らの体たらくの根本になるのは、オシムさんの言う
「自分の弱さを認められていない」
点に繋がるのではないか、と彼らの言動を見ていると感じます。
もちろん、彼らに能力がある事は間違いありません。
過去に素晴らしい結果も出してきた。
確実に何かしらの能力はあるはずです。
でも、過去と今は違います。
時は常に流れています。
時代は常に動いています。
つまり、過去に通用していたものが、今は通用しない事もある訳です。
自分の「今の」力が通用しない事もある訳です。
その「自分の力不足」を無視し、過去の栄光にしがみつくだけでは、何かを「より良い方向に」変化させる事はできません。
それは、今の官僚や政治家やマスコミやサッカー協会を見ていれば分かりすぎるくらい分かりますよね。
過去の栄光ばかりを見て、
今の自分たちを過大評価し、
問題を見誤る。
そりゃあ、上手くいく訳がありません。
サッカー繋がりになりますが、こんな事を言っている人がいます。
勝利のために最も重要なのは、すでに勝ち取ったものをすぐに忘れ去ることだ。それはもはや過去でしかないのだから。
(中略)
私が勝者なのは、過去をすぐに忘れ、常に未来を考えるからだ。
(ジョゼ・モウリーニョ)
モウリーニョはサッカー選手としては2部リーグ止まり。
一流とはとても言えない選手だった訳です。
でも彼は今、多くの勝利を掴む事ができている。
その一因には、
過去に囚われず、未来を見据えて、今のベストを尽くす事に集中する
という彼のこの姿勢がある事は間違いないでしょう。
翻って、世間を騒がせているエリートの皆さんはいかがでしょうか。
「過去の栄光」に囚われ、視野を狭め、今すべき事を見失っていないでしょうか。
「自信」と「過信」を混同していないでしょうか。
以前書いた
この記事の中で
「今の」自分の至らなさを知り、それを受け容れる。
それによって、「本来の」自分が持つ「新たな可能性という世界」に一歩足を踏み出す事が出来る。
という事をお伝えしているのですが、まさにこれが今回のエリートの皆さんに欠けているもののように思うのです。
(一度『SLAM DUNK』を熟読してみてはいかがでしょうか)
僕は、企業や商品のブランドデザインや、経営者やアスリートのメンタルトレーニングのお手伝いをしていますが、何をするにしてもまず
「現状をきちんと把握する」
事を重視しています。
現状がどんなに厳しいものだったとしても、それに目を向けず「なかった事」にしているようでは絶対に状況は変わりません。
例えば体調が悪い時、具体的にどこがどのように調子が悪いのかという「現状」を把握しますよね?
そしてその現状に合った対処をしますよね?
風邪をひいて熱があるのに、それを無視して正露丸を飲んでも身体は楽になりません。
捻挫をして足に痛みがあるのに、それを無視してバファリンを飲んでも痛みは無くなりません。
結果、己のパフォーマンスを下げてしまい、望まない結果がやって来る。
そういうもったいない事にならないように、
1.「現状」をきちんと把握する。
そして、
2.それを「乗り越える」
それこそが残念な体たらくに陥らず、自分も周りも豊かにできる第一歩だと僕は考えています。
もし今、あなたが何かで上手くいかずに悩んでいるのなら、まずは今の状況をきちんと把握してください。
そして、今の自分の弱さや至らなさを受け容れてください。
弱い事は、悪い事ではありません。
むしろ、改善すべきポイントを教えてくれているのですから良い事と言っても過言ではないのです。
弱くてもいい、劣っていてもいい。
まず、そこから始めればいい。
そこが、あなたのスタート地点、あなたの栄光へのスタート地点です。
あなたの歩むその道の先が、光り輝く未来か、それとも漆黒の闇か。
それを選択するのは「今のあなたの選択と行動」です。
あなたがそういう未来に向けて一歩を踏み出せる事を祈っています。
阿部 龍太
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