自動車。
あなたはお好きでしょうか?詳しいですか?
僕は残念ながら、あまり車に詳しくありません(苦笑)
なのに車を買いに行った(正確には知人の買い物のお付き合いをした)ら、あなたの商売繁盛に応用できそうな面白い事があったので、今回シェアさせてもらいます。
Kさんの「命の洗濯」
とある友人、Kさんとしておきましょう。
Kさんはある企業の経営者。
一所懸命仕事を頑張られて、会社を大きく成長させました。
そんな自分へのご褒美と、これからも頑張るぞ!という気合いを入れるために、車を買う事にしたのだそうです。
そんなKさんにお願いして、商談にご一緒させてもらう事ができました。
車が大好きなKさん。
とりあえず有名ブランドは大体回ってみたのだそうです。
今回僕がご一緒できたのは
T社(アメリカ)
B社(ドイツ)
L社(日本)
どれも世界に名だたる車ブランドです。
T社は電気自動車という存在の可能性を大きく感じたものの、ボディデザインがKさんのお気に召さず断念。
B社は応対した男性の方がなかなかの車マニアで、Kさんとも話が弾んでKさん的にはなかなかの高ポイント。気になる車もいくつかあったそうです。
そして、最後にL社です。
実はKさん、L社に一番期待していたのだそうです。
良い意味で、今までの日本車のイメージを壊して欲しいという思いがあったのだとか。
都内のとあるショールームに行って、展示車を見ていると、流石はL社なのか、Kさんも目の色が変わってきているのが分かりました。
やっぱりいい車なんですね、L社(詳しくなくてすみません…)
そして、少し詳しい話を聞きたくなったKさん、担当の方と話したいと近くのスタッフさんに伝えました。
3分ほど経って、担当の方が来られました。
Kさんも愉しみにしている様子。
しかし、です。
こちらに歩いてきた担当者の方を見たその瞬間、僕は思いました。
「自分だったら、L社の優先順位は下がるなあ」
と。
Kさんご自身も、その担当の方と少しお話をしていましたが、明らかにB社の時とテンションが違っていたのが分かりました。
結局Kさんは、L社で買うのは止めたのだそうです。
(何にしたのかは素人なので覚えていませんが、L社ではないのは覚えてます)
KさんがL車の車を買わなかった理由
KさんがL社で買うのを止めた理由は、僕がL社の担当の方に感じた違和感と同じ部分でした。
一体、何が問題だったのでしょうか?
別に態度が悪かったとか、車の知識が無かったとか、そういう部分ではないんです。
L社の担当者の方の接客態度は悪くはなかったし、色々説明もしてくれました。
でも、ある部分で他社とは決定的に違ってたんです。
それは何か?
引っ張ってもアレなので、答えを言いましょう。
答えは
身だしなみ
です。
具体的には、担当者の方のスーツがヨレヨレで、靴が結構(いや、かなり)汚れていたんです。
「え?そんな事?」
って思いましたか?
もし、あなたが商売人で、そういう風に思ったのなら正直これからの時代は厳しいと思います。
偉そうでごめんなさい。
その理由をこれからお伝えします。
L社の担当者の方の何がいけなかったのか?
先日の記事で、
「マーケティングは個々の打ち手だけではなく、全体像を元にしたバランス、全体最適化も重要ですよ」
という話をお伝えしました。
今回のL社の担当者の方の件もこれに近いものです。
簡潔に言えば
「L社は全体最適化が出来ていなかった」
という事になります。
もう少し具体的に言うのであれば、L社はなかなかの高級車ブランドです。
低価格帯のものでも500万円くらい。
高価格帯のものだと1000万円を軽く越えます。
そういうブランドですから、車の性能が素晴らしいのは最早「当然」です。
そして同時に「それだけ」では不十分なのです。
つまり、素晴らしい商品を提供する「だけ」では問題なのだという事。
「商品」だけが素晴らしくても、それ以外の要素も必要で、そして最終的にそれらの要素との「最適化」が取られていないのであれば、お客様が感じるその商品の素晴らしさも低くなってしまう、という事なのです。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか?
あなたが「売る」のは何なのか?
「モノ」を売るな。
「コト」を売れ。
という風によく言われたりしますが、今の時代は、いくらいい商品であっても、それだけで選んでもらう事は難しい状況です。
同じような商品がたくさん存在しており、その商品そのものの良さだけでは独自化するのが非常に難しくなっているからです。
(僕はある理由から「差別化」という言葉はあまり使わないのですがそれはまた別の機会に)
L社の商品そのもの(車)が良い事は分かります。
でも、それだけでは、L社の大ファン以外にはなかなか選んでもらいにくい。
(この“大ファン”になってもらう事こそ、ブランディングとして超重要なものなですが、それもまた別の機会に)
修理工場の担当者の方の服や靴が汚れているのなら問題ないんですよ。
それだけお客様のために働いている訳ですから。
でも、お客様との商談の担当者の方の服や靴が汚れているのはどうなんでしょうか。
「見た目じゃない!心だ!」
って思いますか?
でも正直に言えば、「心」があれば、最低限の「見た目」も磨かれるものなのですよ。
つまり「見た目」がその商品に、その場に、相応しくないものであれば、それは「心が無い」と言えるのです。
別に高級スーツや高級靴を身につけろと言っている訳ではありません。
シャツにアイロンをかけて、体格に合ったスーツを着て、靴を磨いておく。
今回の事例で言うならば、それだけでよかったんです。
お寿司屋さんの職人さんが煙草の臭いをさせてたら、その人に握ってもらいたいと思うでしょうか?
スポーツジムのトレーナーがブクブクに太っていたり、逆にガリガリに痩せていたら、その人にトレーニングを受けたいと思うでしょうか?
美容師さんの髪型が致命的にカッコ悪かったら、その人に髪を切ってもらいたいと思うでしょうか?
そういう話なのです。
もちろん、見た目「だけ」にこだわるのも間違いです。
巷の「コンサルタント」とか「起業家」とか「コーチ」とか「セラピスト」と呼ばれる人達の中には、中身がない、見た目だけの輩も少なからずいる訳ですから。
(そういう人でもあっさり有名になってしまうのがこの世の怖くも面白い所なのですが…)
そういう「張り子の虎」みたいなものでは意味はありません。
(自戒を込めて)
でも、いくら中身があっても、それだけでは選んでもらいにくいのもまた事実です。
だからこそ、中身があるのであれば、それを理解してもらうための努力も必要なのです。
過度な厚化粧で綺麗に見せるのではない。
「ない」ものを「ある」ように見せるのではない。
それはむしろ醜さにつながります。
そうではなく、内面の美しさを表面に出す。
「ある」ものをきちんと表現する。
それが必要な事だと僕は考えます。
お客様は、何を欲しがっているのか?
商品だけがあなたの売るものではありません。
お客様が欲しいのはその商品だけではないのです。
「ドリルを売るのではなく、穴を売る」
という事がマーケティングの世界ではよく言われますが、お客様が欲しいのはその商品によって得られる「バラ色の未来」です。
その商品で、自分がどんな風になれるのか、どんないい事が起こるのか・・・
それを提示してあげる必要がある訳です。
だからこそ、あなたが売るべきなのは、その商品を取り巻く「全て」です。
商品そのものも、アフターサービスも、店舗や施設も、そこで働くスタッフさんも、
・・・
それら「全て」を、お客様は「商品」として(顕在的・潜在的双方で)捉えます。
(これを「ブランドコミュニケーション」と言ったりします)
今回の例で言えば、Kさんはただ単に「車が欲しかった」訳ではありません。
その車を手にする事で、もっともっと仕事を頑張って、お客様やスタッフさんに喜んでもらおうと思っていました。
それを実現させられるように、自分を磨こうと思っていました。
だからこそ
「単なるいい車を買う」
のではなく
「車を買う過程の全ての体験を楽しむ」
Kさんはこれを望んでいた訳です。
だからこそ、期待していたL社には少なからず残念に感じてしまった。
L社のwebサイトには
ラグジュアリーカーを見きわめる真の基準は、クルマそのものの価値と、クルマが生みだす心躍る体験にあると、私たちは考えます。
「L社」は時代を先取りし、新たな驚きを創造することをクルマづくりの信念としています。
(L社公式サイトより抜粋。「L社」の部分のみ阿部が修正)
と書かれていますが、残念ながら今回Kさんにとっては全く「心躍る体験」ではなかった訳ですし、違う意味で新たな驚きがあった訳です。
ひとことで言えば、言っている事とやっている事が違っていた、という事ですね。
さて、あなたはどうでしょうか?
あなたは何を売っているのでしょうか?
何を提供しているのでしょうか?
「お客様の欲しいもの」を提供できているでしょうか?
もし提供できていないのであれば、何をどうすればいいでしょうか?
今一度考えてみてほしいのです。
大きな飛躍のきっかけになりますから。
阿部 龍太
【追伸】
L社を非難しているような文章ですけど、車そのものの質は素晴らしいとKさんも言ってましたし、素人なりに僕もそう思っています。
是非是非、もっともっと素晴らしい「心躍る体験」と「新たな驚き」を提供してください。
「日本の素晴らしさ」を世界にもっともっと発揮していってください。
応援しています!
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