「地域創生・町おこしで成功したいのですが、どうすればいいでしょうか」
というご相談を頂く事があります。
そういう時、今までの僕は、目の前の方のお話を伺いながら、その方に必要な事をお伝えするようにしていました。
でも、これからの僕は、ひと味違いますよ(ニヤリ)
目の前の方のお話を伺いながら、その方に必要な事をお伝えする。
これはこれで当然として、さらに
「どの方にも当てはまる絶対に必要と思えるふたつの要素」
をお伝えする事にします。
というのも、こんな経験をさせてもらったからです。
なぜ、あの町に人が集まるのか?
いつもお世話になっている長野県は小布施町。
先日、そこでとあるイベントが開催され、ほんの少しですが僕もお手伝いをさせていただきました。
JR九州の新幹線や豪華列車「ななつ星in九州」しなの鉄道軽井沢駅等、多くの建築・車両・プロダクトデザインを手がけている
水戸岡 鋭治さん
リッツカールトンホテル日本支社長を務めた
高野 登さん
といった方をはじめ、
・大分・湯布院温泉観光協会の桑野会長
・JR博多シティの丸山相談役
・しなの鉄道の玉木社長
といった、観光業界の著名人が集まったシンポジウム。
このイベントの内容は大変いい勉強になったのでまた改めてシェアします。
今回はそれよりも先に伝えたい事。このイベントをお手伝いして、気付いた事をシェアしたいと思います。
今回僕があなたにお伝えしたい事、それは
「小布施町が注目を集め、人が集まる2つの根源的理由」
というものです。
いくら「町おこしコンサルタント」的な人に頼っても、この「根源的理由」を押さえられていなければ恐らく上手くいかないでしょう。
そういう根源的なもの、植物で言う「根っこ」となるものです。
町おこしや地域創生に興味のある方は是非知ってもらいたい。
知っている方は、さらに深く理解し、活用してもらいたい。
そんな思いで書きました。
理由その1.変化を恐れず、変化を受け容れ、変化を創り出す姿勢
「ジャンクフードは大好きだから毎日食べたいし、とは言え運動はしたくない。
でも1ヶ月でローラみたいなスタイルになりたい」
こんな人がいたら、あなたはどう思うでしょうか?
アインシュタインが言ったとかそうでないとか言われてますが、
自分を何も変えずに、結果や自分の外の世界を変えようとするというのは、最早「狂人」の振る舞い
なのです。
上で挙げたダイエットの例なら分かりやすいと思うのですが、ところがどっこい、失礼ながら現実世界にはそういう
「狂人予備軍」
が山のようにおられます。
儲かりたい。
有名になりたい。
夢を叶えたい。
・・・
でも、今のままの自分を変えたくない。
ローラではないですが、
「うん、わかった、オッケー!
(๑´ڡ`๑)」
くらいしか、口下手な僕に言える事はありません(笑)
実際に以前、とある市で町おこしのプロジェクトを進めている方から相談を受けたのですが、その方がまさにそういうタイプでした。
出来ない理由を並べるのみ。出来るために何をすればいいのか、を考える事をしない。
人の話を聞く気がないのに、なぜ僕の話を聞こうとするのか・・・
不思議でなりません。
個人的世界の七不思議のひとつです。
それに対して小布施の人は、自分で考え、自分が動き、自分から変わろうとしています。
それは
・世界一になった高校生アスリートを始めとする子供たち
・そういう子供たちをサポートしている大人たち
・新たなチャレンジに挑んでいる若手経営者
・200年以上続く老舗企業の社長
・行政のトップである町長や役場の人たち
皆、同様です。
老若男女、官民関係なく、今の自分を磨き続けています。
しかも、皆で協力し合って。
その過程で、彼らには、
自分の「既存の“枠”を壊す」事を厭わない
という姿勢があります。
既存の「枠」、言い換えれば「常識」と言ってもいいものです。
実際に今回のイベントも、小布施に縁も所縁も無い外部の人(仮にAさんとします)に協力を求め、そして非常に大きな役割を任せていました。
このAさん無しでは今回のイベントの成功は無いと言っても過言ではないレベルです。
そんなAさんの能力や人柄が非凡なのは言うまでも無いのですが、そのAさんを見出し、そして今回のイベントの重要スタッフとして抜擢したその姿勢は、普通の「地方の一市町村」ではあまり考えられないものでしょう。
だって、町に縁も所縁も無い、生まれも育ちも関係ない、所謂
「よそ者」
の方ですもの。
講師とか、アドバイザー契約程度ならともかく、そんな「よそ者」をプロジェクトの重要ポジションに据えるなんて判断は、普通の人は行わないのではないでしょうか。
でも、恐らくですが小布施の方々はAさんを「よそ者」とか「外部の人」という目で見ていないのです。
Aさんの住所や生い立ちではなく、Aさんの能力を、ビジョンを、人間性を見ている。
だから、彼らからしたらAさんは、ただ単に過去に小布施で生まれ育っていないだけ、今小布施に住んでいないだけで、もう立派な
「小布施人(おぶせびと)」
なのです。
共に在り、共に想い、共に創り上げる。
まさに
「共存」
であり
「共想」
であり
「共創」
というものです。
Aさんに限らず、小布施の方々はそういう関係性をどんどん広げています。
これ、当たり前のようで結構忘れられている事が多いのですが、
ブランドの質というものは
「関係性の質」
で決まるもの
です。
「朱に交われば赤くなる」
という諺の通り、
どんな存在と、どんな関係性を築くか。
これによってブランドは、光り輝き愛されるものにも、腐臭を発する穢らわしいものにも、どちらにもなり得ます。
小布施に街に縁も所縁も無い人達がどんどんと「小布施ブランドの向上」のために協力してくれ、それが町としての前進につながっているのは、小布施の方々が「そういう関係性」を築いているからだと個人的には思うのです。
自ら変化し、そのために「よそ者」の意見を取り入れる。
自分の内にある既存の「常識と言う枠」を壊し続ける。
彼らのその姿勢は、Aさんや水戸岡さんや高野さんのような著名人に対してだけではありません。
僕のようなどこにでもいる一般人の話にすら真剣に耳を傾ける程です。
それは、彼らの中に、持つ必要の無いどうしようもない虚栄心が限りなく少なく、持つ必要のある輝かしい誇りが限りなく豊かである事を明確に表しています。
自分が無知である、つまり可能性があるという事を知っている訳です。
こんなのもう、成長するしか道はありませんよね。
【参考記事】
権力や伝統に胡座をかかない。
その姿勢は、地方の有力者と呼ばれる人になかなかない要素だと個人的には思います。
(痛々しい有力者の方何人か知ってるので…)
上で例に出した某町おこしのプロジェクトリーダーには、残念ながらその姿勢が全く無かった訳です。
だからこそ、そんな彼らは何も変わる事なく、そしてだからこそ、小布施は前に進み続けているのでしょう。
理由その2.自分を楽しませる、他人を楽しませる
「街のため、未来の世代のため」
彼らはこういう事を声高に口にしません。
(もちろん、心の中にはそういう意識はあると思います)
それよりも
「面白いからやる」
とよく口にします。
関係者に聞いた話によると、今回のシンポジウムも町内のある人気店のイベントのゲストとして水戸岡さんをを呼ぶと決まった時に
「そんな凄い人が来てくれるなら、せっかくだから面白い事やろうよ!」
という最早「悪ノリ」意外の何者でもないものきっかけだったらしいです(笑)
そしてここで出た、彼らにとっての
「面白い」
とは
「自分ひとりで楽しむのではなく、他人と一緒に楽しむ事」
を指します。
そこにあるのは、所謂「自己陶酔」でも「自己犠牲」でもありません。
もしくは「利己」でも「利他」でもありません。
だって互いに楽しみ合い、喜び合うのだから。
これは、思想家のマルティン・ブーバーの言う
「我−汝」
という人間関係の形と似ています。
相手を道具として見て一方的にただ利用するだけではなく、相手を生命、つまり無限の可能性のある存在として見て、互いに喜び合うような働きかけをする。
「利己」でも「利他」でもない。敢えて言うなら
「利互」
という概念になるのかな(今僕が作った言葉です。辞書を引かないでね)
「一緒に楽しもうよ」という姿勢。
これがベースにあるからこそ、老若男女関わらず、いや、それこそどこに住んでいようがいまいが関係なく、人が(それも非常に経験豊かで能力の高い人が)集まるようになる。
皆、仕事や用事があって忙しいはずなのに、集まってくる。
そういう「流れ」というものは結局、巡り巡って「街のため、未来の世代のため」になる訳です。
今の時代のブランドは
「売り手と買い手」
といった
「隔絶された個別の存在」
という関係性では成り立ちにくくあります。
そうではなく、
「作り手と作り手」
「同じコミュニティの仲間」
という
「共に在り、共に想い、共に創る存在」
という関係性が非常に、非常に、重要な要素となる訳です。
この2つの要素は、町おこしや地方創生に限らず、ほとんどの分野の商売において応用可能なものだと個人的には考えています。
ただのお客様ではない。あなたの想いに賛同し、共に歩んでくれる仲間。
そういう人があなたのお客様になってくれ、そしてその人が、また別のお客様を連れてきてくれる。
売ろうとするのではなく、あなたの思いを具現化していけばいい。
それに賛同する人が買ってくれる。
あなたの商売も、こんな風になったら、楽しくないですか?
是非ともご自身の商売、ご自身の人生に取り入れてみてください。
あなたの大切な人と一緒に、豊かになっていってください。
おまけ:唯一の勘違い
このイベントの最中、運営の中心メンバーでもあるSさんがこんな事を言っていました。
「こんなに凄い人達が小布施に来てくれるなんてホント奇跡だ」
Sさんは嬉しくてこういう事を口にされたと思うのですが、個人的にはこれは勘違いだと思うのです。
確かに、水戸岡さんや高野さんだけでなく、大分・湯布院温泉観光協会の桑野会長やJR博多シティの丸山相談役やしなの鉄道の玉木社長といった、観光業界における錚々たる面子が小布施に集まったのは事実です。
でも、僕に言わせればそれは、奇跡でも何でも無い。
奇跡ではなく、今まで小布施の皆さんが一所懸命作り上げてきたものの賜物です。
ですから、こういった人たちが小布施に来てくれるのは、最早
「必然」
だと思うのです。
漫画『ワンピース』で、一部の人々から「奇跡の人」と崇められているエンポリオ・イワンコフ(通称イワさん)が
「奇跡は諦めない奴の頭上にしか降りてこない!!!」
という名言を残していますが、小布施町はこの十数年、いや、それこそ江戸時代から諦めず、伝統を守りながら変化に挑戦し続けています。
ですから、今回のような人達が来てくれるという事は、それだけ小布施も素敵な人達がいる凄い場所なのだ、と思うのです。
「奇跡」のように見える「必然」
この素晴らしさ。
是非あなたにも味わって欲しい。
その日が来るのを、応援しています。
阿部 龍太
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