「情熱があれば、うまくいく」のウソ・ホント

「ブランドデザイン」科

「情熱があればうまくいく」

「熱い気持ちが何よりも大切だ」

 

という言葉を聞いた事があると思います。

 

ちょっと勉強している人なら、

 

アリストテレスは、人を説得する際に必要な要素として、

・エートス(倫理)

・パトス(情熱)

・ロゴス(論理)

という3つを挙げている。

 

という話を聞いた事があるかもしれません。

 

で、これを元に、

 

「情熱は大切です!だから情熱を持って取り組みましょう!」

 

みたいな事を言うコンサルタントやコーチが少なくない。

 

この

 

「情熱原理主義(笑)」

 

的な考え方、正直言って個人的に微妙だと思っています。

 

もちろん「情熱」の重要性を否定するつもりはありません。

ただ、ここに小さくない勘違いが隠れている、というのが僕の意見です。

 

結論から言えば

「情熱があればうまくいく」

というのは、半分正しく、半分間違っています。

 

もっと言ってしまえば、うまくいくどころか、酷い状況になってしまう事もある。

 

「情熱があるからうまくいかない」

 

という事が起こってしまいかねない、という事です。

今日はこの事についてお伝えしようと思います。

 

 

「情熱があるからうまくいかない」理由

ちなみに実際にアリストテレスは「情熱があればうまくいく」なんて事は全く言っていません。

彼は著作『ニコマコス倫理学』の中で

 

欠陥は歳月の多少にかかわるのではなく、かえって、情念(パトス)のままに生き何ものをも情念のままに追求するという点に存している

 

と語り、そしてこういう人について

 

知識は無益におわる。

 

と語っています。

つまり、

 

情熱「だけ」で生きていると、無益な結果を生んでしまいますよ。

 

という事を彼は伝えてくれている訳です。

 

実際に世界で起こってきた出来事を観てみてください。

 

例えば中世の大航海時代や二度にわたる世界大戦、そして現代の数々の企業の滑稽極まりない不祥事の数々や宗教や民族の違いによる紛争。

これらは数多くの人を傷つけ、誇りや命を奪っているという側面があります。

 

大航海時代によって植民地や奴隷という存在が生まれ、

世界大戦では億を数える人が亡くなり、

某新聞社の情報捏造や、某製造業やエネルギー企業の偽装によって、国家レベルでの損失が生まれ、

今も神の名の下に、殺人が行われている。

 

こういった

「自分の利益だけのために、人を踏みつけ、傷つける行為」

ですら、もともとはある種の「情熱」から生まれています。

 

逆に、人を笑顔にしている人や企業もいます。

 

人種差別という呪縛から人々を、そして国を解放しようとしたネルソン・マンデラやマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)

戦後の焼け野原からの復興に大きな力を果たした盛田さんや井深さん(SONY)や本田さん(HONDA)や松下さん(Panasonic)や立石さん(OMRON)・・・

書き出すと止まらない、偉大な起業家達・・・

 

彼らの偉業の根底にもある種の「情熱」があった訳です。

 

つまり、世界を驚きと喜びに包んだ偉人にも、世界を血と叫喚に染めた虐殺者にも、根本には「情熱」があった、という事なのです。

 

(ちなみに、大航海時代や戦争のお陰で技術や文化が発展した、という意見もあると思いますが、今回の論点はそこではありませんのでご了承を)

 

さて、これらの事をもう少し平たく言うのであれば

 

・お客さまを騙して売上を上げようとする詐欺師的経営者

・お客様を喜ばせて売上を上げようとする商売人

 

 

・自分や他人を責め、つまらない人生を送っている人

・自分や他人を喜ばせ、笑顔に溢れた人生を送っている人

 

も、それぞれ「情熱を持って生きている」と言える、という事です。

 

では、これらの間にどのような違いがあるのか?

 

それを次回お伝えしようと思います。

お楽しみに。

 

 

阿部 龍太

 

 

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