*今回の記事では、とあるシステムやとある業界を批判しているように見えるかもしれませんが、実際は全く違う事を予め宣言しておきます。
他人の事悪く言うなんて、この僕にできる訳が無いですから(笑)
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先日の事です。
ある知人からこんな話を聞きました。
(Gさん、いいネタをありがとう!)
彼が勤める会社がとある研修を導入したそうです。
コーチングをベースにしたコミュニケーション研修だとか。
研修内容は結構ためになるものだったそうです。
コミュニケーションの質を高められそうな技術を色々学べたのだとか。
でも、結局の所、その会社ではそのコーチングはまったく定着しなかったのだそうです。
研修内容は良かった。勉強になるものだった。
参加した社員の方も真面目に取り組んだ。
なのに定着しなかった。
何故だと思います?
・・・というのが今日のお話です。
彼の会社でコーチングが定着しなかった理由
答えをひとことで言うならば、彼の会社には
「コーチングというコミュニケーション技術を活用できる組織ではなかった」
という訳です。
Gさんいわく、実はその会社ではある部署と別の部署の仲が悪いのだそうです。
(正確には部署のトップ同士の仲が悪いとの事)
そのせいでその部署の人達は学んだコミュニケーションを活かす事すらしないのだそうです。
それを見て他の組織の人も・・・という状態なのだ、と話してくれました。
人と人との「信頼関係」が無い。
改善しようとする意識も無い。
つまり得た「技術」を活かせる組織ではなかったという事です。
根が腐っている植物にどんな肥料を与えても枯れてしまうようなもの。
コミュニケーションやらコーチングやら、何を導入したって変わる訳がありません。
Gさん(彼はそのどちらの部署でもない)はこの話をしながら、
「みんな分かってたんだよ。もっと根本の部分で変えていかないと、コミュニケーション技術なんて学んでも無駄だって」
と溜息まじりに呟いていました。
彼の会社の今後が改善される事を祈る次第です。
事件はどこで起こっている?
さて、今回はとある会社の研修についての話を例に挙げましたが、このような事って、何も研修に限らないと思うのです。
僕は以前、システムエンジニアの仕事をしていた事がありましたが、とある大企業(多分日本人なら恐らく誰でも聞いた事がある企業です)へのとあるマーケティングシステム導入に関して、そのシステム導入の一番の理由が
「ライバル会社が同じシステムを導入したから」
という恐るべきもの(笑)だったという事がありました。
管理者の方達へのヒアリングの際、なぜそのシステムを導入するのか、そのシステムで何をしたいのか、どんな課題を解決したいのか、という目的が不明確だったため、何かおかしいと思い詳しくヒアリングしてみると・・・という訳だったのです。
つまり、現場を無視したものだったという事。
何千万、下手したらそれ以上のお金が絡むシステム導入なのに。
ですからもちろん、現場の社員さん達も導入に前向きではありません。
当然ですよね。
自分たちにとって特に利益もない新たなシステム導入を押し付けられ、それによって余計な仕事が増えてしまうのだから。
僕は一時期しかそのプロジェクトには参加していませんでしたが、後で聞いた所によると相当のトラブルがあって、導入時期は年単位で遅れたそうです。
それによって時間とお金、そして関わっていた人の心ががどれだけ奪われてしまったんでしょうね・・・
某映画の台詞ではありませんが
「事件は現場で起こっている」
のです。
現場を無視した施策が功を奏する訳がありません。
なのにそれを分からない、いや忘れてしまっている経営者や管理者が多すぎる。
規模の大小に関わらず、多くの企業が苦しんでいる現状が、その事を示してくれていると思うのですが、いかがでしょうか?
商売の「基礎」はどこにある?
経営者や管理者の方を否定するつもりはありません。
でも、商売の基礎は「現場」にあります。
お客様や商品と向き合っている場こそが商売の基礎となるものです。
言葉はキツいかもしれませんが、現場を、そして現場にいる人を知らない、もしくは見ようとしない人が責任者に座っている組織はこれからの時代、本当に厳しくなります。
どんなに先端のITシステムやマーケティングを導入しても、それを使うのは人です。
その人達の事を知らない、見ようとしない人が責任者の組織なんてもう、失礼極まりない言い方ですが「死にに行くようなもの」です。
ロシア出兵時のナポレオンしかり、第二次大戦の日本軍しかり、歴史を振り返ってみても、現場を無視した指揮官は多くのものを失っていますよね。
ここまで読んでくれたあなたがもし何らかの責任者であるならば、この事を是非意識して欲しいのです。
(って、この文章を読んでくれている人でそういう意識がない人はいないような気もしますが…)
コーチングだろうがITシステムだろうがマーケティングだろうが、税理士だろうが社労士だろうが経営コンサルタントだろうが、何を導入するにしても同じ事です。
中身が伴っていないのでは、それはただの「張り子の虎」
何の意味もありません。
是非「現場」に目を向けてください。
現場で何が起こっていて、何が良くて、何が問題なのか。
その上で何かを導入するのと、そうでないのとでは、天と地どころの騒ぎではないほどの差が生まれてしまいますから。
僕がブランディングのサポートをする時に
「インナーブランディング(組織内におけるブランディング)」
を非常に重視しますが、これが今回のお話に関わるものです。
組織としてきちんとした「一体感」が構築していなければ、すなわち
「健全な組織」
でなければ、何をしてもポテンシャルを発揮する事は難しいでしょう。
「何をするにしても身体が資本」
と言いますが、それと同じです。
人間の活動の基本は身体にあるように、売上や利益を上げる基本は、その組織そのものです。
モチベーションが高い人達に溢れているのか、心身が疲れ切った人達に溢れているのか。
組織が健全かそうでないかで、発揮できるパフォーマンスと、そして得られるものは大きく変わるのです。
「ブランド」というものは、お客様に対してのみ力を発揮するものではありません。
自社の組織にたいしても、大きな力を発揮するものなのです。
あなたの組織は健全でしょうか?
もし、成果が上がっていないと思うのであれば、研修やシステムを導入する前に、一度考えてみる事をお勧めしますよ。
阿部 龍太
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