なぜ、あなたのマーケティングは上手くいかないのか?

「ブランドデザイン」科

「マーケティング」

商売をしている方なら、聞いた事がある単語でしょう。

 

僕自身も、今まで色々お手伝いをさせてもらっていますが、どうもこの「マーケティング」というものについて、

 

勘違いしている人

 

が少なくないように感じています。

しかも、上手くいっていない人ほど。

 

今日は、そんな人が陥りがちなポイントをひとつ、ご紹介しようと思います。

マーケティングについて悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。

 

なお、この場を借りて事例提供、そして公開を許可してくださったクライアントAさんにお礼を言わせていただきます。

Aさん、ありがとうございます。

 

 

ある飲食店経営者のお悩み

Aさんはとある飲食店を経営されているのですが、最近悩んでいました。

「無料クーポン」を導入したものの、成果に繋がっていないのだそうです。

客数はとりあえず増えたけど、でも売上にそれほど繋がっていない、という話でした。

 

「売上だけの問題ではなくて、無料クーポンによって、今までと違うタイプの人が増えてしまったように感じるんです。

それによって、自分の店の価値を下げてしまっているのではないかと不安になります」

 

Aさんはそんな風に言っていました。

 

 

あなただったら、Aさんに何を伝える?

こういう話をマーケティングの専門家の方に相談すると、非常にざっくりとした分け方ではありますが、以下のふたつのタイプに分けられます。

 

【タイプA】

「無料クーポン」の改良をしようとする人(部分最大化)

 

【タイプB】

「無料クーポン」を含めた、マーケティング全体の改良をしようとする人(全体最適化)

 

タイプAの人は、

「じゃあクーポンの内容を変えましょう。特典を増やしましょう」

「クーポンの提供の仕方を変えましょう」

といった話をしがちです。

 

そしてタイプBの人は

「そもそもなぜ、クーポンを提供しようと思ったのですか?」

「クーポン提供を含めた全体の流れ(グランドデザイン)を考えましょう」

といった話をしがちです。

 

もちろん、どちらが善い・悪いという訳ではありません。

どちらの視点も必要なものです。

 

ただ、上手くいっていない人は「A」の視点ばかり持っている。

つまり「部分の最大化」という「点」の視点が強く「全体の最適化」という「線」(そして「面」)の視点が弱い。

今までたかだか10年程度、たかだか数百人程度ですが、色々な業種の方からマーケティングの話を聞いてきて感じている事です。

 

実際にAさんも、とあるコンサルタントの方に相談したそうですが、典型的な「タイプA」の方だったそうです。

クーポンを修正すれば上手くいく。

Aさんも最初はそう思っていたそうですが、現実はそう甘くはなかった訳です。

 

そんなAさんに僕はこんな質問をしました。

もしよければあなたも考えてみてください。

 

 

マーケティングとF1レーサーの甘美な関係

僕がAさんにした質問。

それは

 

「なぜF1カーが時速300kmを超えるスピードが出せるのか分かりますか?」

 

というもの。

 

エンジンのパワー?

シャーシの堅牢性?

ボディーの空力特性?

 

これは元レーサーの方から伺った話なのですが、F1カーの早さの秘密はエンジンやシャーシやボディーといった「個々のパーツ」の力だけではなく、

エンジン

シャーシ

ボディー

・・・

全てのパーツとの「全体のバランス」という、ある種の「全体最適化」にあるのだそうです。

 

F1カーのエンジンを軽自動車に載せても、F1と同じようなスピードが出せる訳ありませんよね?

それどころか多分、まともに走れないのではないかと思います。

 

F1カーにはそれに合った世界が、軽自動車にはそれに合った世界がそれぞれ存在します。

だから、どちらが善い・悪い、という話ではありません。

そうではなく、それぞれが持つ「全体」にきちんと「個々の要素」が「最適化」されているかどうかが重要なのだ、という話なのです。

 

 

「無料クーポン」をいくら頑張っても上手くいかない理由

ちなみに、これはF1に限った話ではありません。

スポーツの世界で「ドリームチーム」と言われる存在はありますが、だからと言ってそれが最強かと言われるとそうではないのです。

 

野球で言えば、9人全てがホームランバッターだったら最強ですか?という話です。

(巨人が一時期目指してたような気がしますが、結果はどうだったでしょうか?)

 

サッカーで言えば、11人全てを各国代表の選手で揃えたら最強ですか?という話です。

(R・マドリーが一時期目指してたような気がしますが、結果はどうだったでしょうか?)

 

残念ながら、違いますよね?

 

「選手」という「個々の要素」だけを強くしても、「全体」つまり、ひとつの「チーム」としてまとまっていなければ試合には勝てません。

(もちろん、個人技もチームのまとまりも弱いチームよりはよっぽど強いですよ。念のため)

 

それと同じで、いくら「無料クーポン」を頑張ったところで、「全体のビジネスモデル」としてまとまっていなければ商売で上手くいく訳が無いのです。

 

「強いのは11人の選手の集まりではなく、ひとつのチームである」

というような事を言ったのは確かイビチャ・オシムさんだったと思うのですが、これはサッカーに限らず、商売でも全く同じ事だと思うのです。

 

Aさんはこの話を聞いて、何かに気付いたかのように大きく頷いていました。

 

 

「どうすれば、マーケティングが上手くいくのか?」

今まで、こういう質問をされた事は少なからずありました。

こういう時、多くの方は

 

「どんなマーケティング手法を行えばいいのか?」

 

といった

 

「具体的な“何か”」

 

を求めているようです。

 

しかし個人的には、そもそもこの質問をしている時点で、商売が上手くいく事から遠ざかっている、と言わざるを得ません。

上でお伝えしたように、部分だけを取り上げても全体が良くなるとは限らないからです。

 

Aさんが僕に質問をした時がまさにそうでした。

 

「無料クーポン」を何とかすれば売上が上がる。

逆に今、売上が上がっていないのは「無料クーポン」が上手くいっていないからだ。

では、どうすればいいのか?

何をすればいいのか?

 

というような。

 

彼の考えが間違いだとは言いません。

ただ、それが正しいとも言えないのです。

 

「無料クーポン」とは「商売繁盛」のためのひとつの「手段」ですあり、ひとつの「道具」です。

ですから、それを「どう活用するか」で、それが黄金を引き寄せる事にも、災害を引き寄せる事にもなる訳です。

 

そして、そのふたつの分かれ目になるのは

 

「何のためにそれを使うのか?」

 

という「土台」であり、そしてその土台に合った形で

 

「いつ、誰が、誰に対して、何を、どのように使うか?」

 

といった「グランドデザイン」、違う言い方をすれば「全体像」というものの質です。

 

そして、ここまで来て初めて、

 

具体的な「手法」

 

が出てきます。

 

ところがAさんは、この意識がほとんど無かった。

 

「無料でクーポンを配ったら、お客さんが増えて、その内の何割かがリピートしてくれる」

というレベルの思考しか無かった訳です。

 

よほどの尖ったお店でない限り、このレベルの意識では上手くいきません。

だって、他にも同じようなレベルのお店がたくさんあるのですから。

 

 

さあ、今が、チャンスです。

でも、これって、ある意味チャンスだと思うんですよ。

 

同じようなレベルのお店ばかり。

適当に考えているから適当なマーケティングしか出来ていない。

だから売上も上がらない。

 

当然の話です。

 

であれば、レベルを上げれば、確実に「選ばれる」お店に近づける、という事になります。

Aさんにはそのための方法をお伝えしたのですが、それがどう身を結ぶか、今から愉しみです。

 

もしあなたが今、マーケティングについて悩んでいるのであれば、是非考えてみてほしいのです。

「道具」だけを見て、「土台」や「全体」を疎かにしていませんか?

是非「グランドデザイン」、つまり「全体像」についても考えてみて欲しいのです。

そして、そのデザインに沿って行動する。

遠回りに見えるかもしれませんが、これが一番の近道だったりします。

 

あなたが「選ばれる存在」になりますように。

 

 

阿部 龍太

 

 

コメント