【暴言御容赦】「禁煙にすると売上が下がる」と言う経営者に欠けているもの

「ブランドデザイン」科

2020年のオリンピックに向けて、またWHOからの指摘によって、飲食店の禁煙化を推進する動きがあるそうです。

僕は煙草は吸わないのでこれに不満は無く、むしろ歓迎しているのですが、少し気になる事がありまして今回筆を執った(キーボードだろみたいなツッコミは不要ですよ念のため)次第です。

 

 

禁煙にすると売上が下がる?

禁煙化に反対している人達の言い分として多いのは

 

「お店を完全禁煙にすると、お客様が来なくなって売上が減少してしまう」

 

というものだそうです。

 

実際に過去には日経新聞や三菱UFJリサーチ&コンサルティング等からそのようなデータが発表されているのだそうな。

そして例によって例の如く、このデータの信憑性の無さも溢れんばかりに指摘されています(笑)

ただ今回、僕が指摘したいのはそういう話ではありません。

マスコミや調査会社も人間。彼らが残念な事をするのは今に限った話ではありませんから(治す気がある事を祈ります…)

 

それに、彼らを擁護する訳ではありませんが、実際に売上が下がる飲食店が出る可能性はあります。

 

例えば

葉巻を楽しみながら飲食をするシガーバー

といったような

 

「煙草を吸う事がメインコンテンツとなっている飲食店」

 

ならば、完全禁煙化によって売上の低下どころか、お店の存続そのものが危ぶまれてしまうでしょう。

ですから、こういう飲食店の経営者が「禁煙化によって売上が下がる」と言う事に対して理解はできます。

 

(注)

ちなみに、シガーバーについては規制の対象外とするという話が過去にありましたが、2018年4月20日に東京都が公開している「東京都受動喫煙防止条例(仮称)骨子案」にて、葉巻もたばことして規制対象とされているようです(2ページ目を参照)

 

しかし、こういったシガーバー以外の通常の飲食店。

つまり

 

あくまでも飲食がメインコンテンツ。

煙草を吸う事はサブコンテンツ。

 

という飲食店に関しては、話は別となります。

 

 

「所詮、潰れる運命なのですよ」

はっきり言いましょう。

 

「禁煙化したら売上が下がる。だから禁煙化には反対だ」

と言っている経営者は、僕に言わせれば

 

経営者失格

 

です。

 

「禁煙化したらお客様が減る」

 

と言うのであれば、それは

 

「喫煙以外に提供できる価値が無い」

 

と言っているという事であり、そしてもっと言うならば

 

「自分は新たな価値を提供する努力をしませんよ」

 

と宣言しているようなものだからです。

 

単なる

 

「知的怠慢」

 

です。

 

「禁煙化したらお客様が減るかもしれない…」

と不安になるのは理解できます。

この先どうなるのか、と辛い気持ちになってしまってもおかしくはないでしょう。

 

しかし、経営者という生き物は

「他者に価値を提供する事で利益を得る」

という生き物です。

(ここで言う”他者”とはお客様に限らず、スタッフや業者さんといった全ステークホルダーを指します)

 

他者に価値を提供しないで利益を得ようとするのは

 

ただの「詐欺師」もしくは「ジャイアン(映画版を除く)」

 

に過ぎません。

 

「おまえのものは俺のもの。俺のものも俺のもの」

 

と言っているようなもので、自分の持っている物を分け与えてお互い喜び合うという発想が無いという事です。

 

もう一度言います。

 

「禁煙化したらお客様が減るかもしれない…」

と不安になるのは理解できます。

その事を否定するつもりはありません。

 

しかし、経営者ならば、ここで

 

「禁煙化したらお客様が減るかもしれない。

ならば、お客様が来てくれるような新たなものを考えよう」

 

と考えるべきだというのが僕の意見です。

それができない経営者は、禁煙化がされようがされまいが、所詮、潰れる運命なのです。

 

厳しい指摘どころか、暴言極まりないと感じられるかもしれません。

不快な気持ちになった方には申し訳ないのですが、しかし商売人としては何も間違った事を言っていないと僕は考えています。

 

例えば僕の知人は、2011年の震災による風評被害で売上を大きく落としましたが、今はその風評をはね除けて売上を回復させています。

 

また、飲食店を営む別の知人は、天候不良で仕入れ先から食材が仕入れる事ができなくなり、お店のメニューの提供ができなくなる危機に陥りましたが、努力の末、別の仕入れ先の食材を使った新メニューが評判となり、危機を脱する事ができました。

 

風評や天候不良という身に覚えの無い外部からの圧力により、彼らは非常に苦しみましたが、それに負けず、自分を更に磨く事で今は、その苦しみから解放されているのです。

 

他に有名な事例を挙げるとしたら

 

「日本マクドナルド」

 

彼らは2014年に全店舗を禁煙化し、さらにその後の騒動で大きく売上を下げました。

決算書を見てみると、2015年の純利益は349億円以上の赤字だったそうです。

それが2016年には黒字化(約53億円の純利益)

そして2017年には更に大きく成長(約240億円の純利益)

といったV字回復を見せています。

参照サイトはこちらです)

 

赤字で苦しんでいた時、日本マクドナルドのカサノバCEOは全国のマクドナルドを回って、スタッフやお客様の話を聞いて回ったそうです。

そして、現状の変えるべき所を変えた。

ポケモンとのコラボやSNSの施策や新メニューの発表といった具体的な面は、彼らの「変化」の表れなのです。

 

今まで提供していたものの価値が無くなってしまうのであれば「新たな価値」を提供できるよう考え、行動する。

そして、それができないのであれば、この世界から消えていく。

 

ある種の「適者生存」

僕が言っているのはこういう事です。

 

商売人として、どこかおかしい点はあるでしょうか?

 

 

あなたにはまだ、できる事がある。

まだ禁煙化が確定された訳ではありません。

まだ少し時間的余裕はあります。

であれば今のうちに、新たな事を何か試してみてはいかがでしょうか?

 

例えば、1週間限定や特定の曜日限定で完全禁煙にしてみる。

そのデータを集めて、実際に売上や利益に影響があるかどうかを比較してみる。

 

もし影響があるのならば、ビジネスモデル(商品・お客さま・マーケティング手法)を変える。

ファミリー向けの商品やサービスを企画したり、そういう人に向けたセールスプロモーションを行う。

売上を上げるために、何かできる事はあるはずです。

 

根性論みたいになってしまいますが、僕は、

 

商売の根幹にあるものは「心」

 

という信念を持っています。

 

お客様に喜んでいただく。

そのために、あらゆる側面での「自分たちが提供できるもの」を磨き上げる。

 

お客様を踏みつけて利益を得る「利己」の心ではなく、

お客様のために自らを殺す「犠牲」の心ではなく、

お客様と共に喜び合う「恊創」の心。

 

その「心」、そしてその心を「行動」に現す。

それが商売繁盛の根幹だと僕は考えています。

 

あなたにはまだ、できる事がある。

ですからどうか、諦めないでください。

禁煙化になんか、負けないでください。

 

微力かもしれませんが、そんなあなたを僕は応援していますから。

 

 

阿部 龍太

 

 

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