「真面目でない」からブランドになれない、という本当の意味

「ブランドデザイン」科

「真面目に生きる」

日本語が読める人なら恐らく読めるし、意味も分かると思います。

でも、この「真面目」という言葉。

この言葉の意味を、多くの人が勘違いしているようです。

 

「真面目に生きる」事で、ほぼ確実にあなたはブランドになれます。

逆を言えば「真面目に生きていない」から、ブランドになれないのです。

 

ただし、ここで僕が言っている「真面目」とは「本来の意味」で使っています。

 

今日はこの「真面目」という言葉の持つ「本来の意味」と、それに伴うブランディングのコツをお伝えしようと思います。

 

 

「真面目」という言葉に隠された意味

辞書で調べてみると「真面目」という言葉にはこんな意味があるそうです。

 

まじ‐め【真‐面‐目】

1 うそやいいかげんなところがなく、真剣であること。本気であること。また、そのさま。
「真面目な顔」「真面目に話をする」

2 真心のあること。誠実であること。また、そのさま。
「真面目な人柄」「真面目に暮らす」

(デジタル大辞泉より)

 

別にこれらが間違いだと言うつもりはありません。

真剣、本気、真心、誠実、これらのキーワードが「真面目」という言葉を表す、それはその通りだと思います。

 

ただ、もう一歩踏み込んで考えていただきたいのです。

なぜ「真面目」という状態が、真剣、本気、真心、誠実、という状態を表せるのでしょうか?

そこには「真面目」という言葉の持つ「本来の意味」がありました。

 

 

「真面目」という言葉の持つ「本来の意味」

「真面目」という言葉の「本来の意味」それは、この詩で表現されています。

 

柳は緑、花は紅、真面目

(蘇東坡)

 

北宋の時代の政治家でもあり詩人や書家でもあった蘇東坡。

彼が詠んだとされている詩です。

 

「柳の葉は緑色で、花は紅色、その自然そのもののありのままの姿が何よりも美しい」

 

という意味なのだそうです。

この

「自然そのもののありのままの姿」

を指す言葉が

「真面目(しんめんもく)」

というものなのです。

 

つまり

 

「自分そのもののありのままの姿」

を世界に打ち出して生きる、それが

「真面目に生きる」

という事。

 

だからこそ真剣に、本気で、真心を込めて、誠実に生きられる。

人に言われたから、とか、疑問を感じながら嫌々やっていたりしたら、そんな風に生きられるでしょうか?

真剣に、本気で、真心を込めて、誠実に生きていけるでしょうか?

 

この「真面目(しんめんもく)」という概念が「真面目」という言葉の「本来の意味」なのだと僕は思うのです。

 

 

「ありのまま」という「誤解」

ちなみに、このような話をすると

「そうか、今のままでいいんですね!」

とおっしゃる方がおられるのですが、それは

 

半分正しく、半分間違っている

 

というのが僕の意見です。

 

なぜならば、「ありのまま」という言葉には、二つの意味があるからです。

「今のありのまま」

「本来のありのまま」

という二つの意味が。

 

あなたの「今のありのまま」を否定するつもりはありません。

それを否定してはまったく先に進めませんから。

しかし、そこだけに固執してしまうと、あなたの「本来のありのまま」を見失ってしまう事になりかねません。

例えば

 

「私は●●だから、Aしかやりません」

「私は●●だから、Bはできません」

 

と、勝手に自分に枠をはめて自分を縛ってしまい、その結果、自分の可能性を狭めてしまう事になりかねない。

もしかしたら、「本来のありのまま」のあなたはもっと笑顔で、もっと楽に生きられる存在なのかもしれないのに。

 

もちろんどちらが正しいとか、間違っているとか、そういう話ではありません。

ただ、せっかくの可能性を無視してしまう事は、とてももったいない事ではないでしょうか?

せっかく持っているものならば、きちんと活用した方がいいと個人的には思うのです。

 

 

ある経営者の「ありのまま」

これはブランディングにおいても同様です。

色々な方の相談を伺ったり、色々な企画をリサーチさせてもらうと、この「ありのまま」を疎かにしている人や企画が少なくありません。

つまり、自分を大きく見せてしまったり、小さく見せてしまうという事ですね。

 

まあ、自分を大きく見せてしまうという事については、色々な残念な事例もありますし、ここで何かを言うまでもないでしょう。

あなたは是非、そういう残念で悲しい事をしないで欲しいと思います。

 

ただ、もっと悲しい事があります。

それが「自分を小さく見せてしまう」という事。

 

何年か前の話ですが、あるセミナーで講師をさせてもらった時、懇親会でこんな事がありました。

 

Tさん

「私は親の跡を継いで清掃業をしているのですが、あまり業績が良くないんです。色々マーケティングを学んだりコンサルを受けたりしているのですが、あまり変わらないんですよね」

 

このTさんに対して、いくつか質問をさせていただいた後、僕はこのような質問をしました。

 

阿部

「Tさん、ご自身の仕事を誰かに一言で説明するならば、何て言いますか?」

 

Tさん

「え?そうですね・・・『建物を綺麗にする仕事です』かなあ」

 

阿部

「なるほど。Tさん、あなたの会社の業績が良くならないのはそこに原因のひとつがある気がします」

 

Tさん

「???」

 

いかがでしょう?

僕が何を言いたいのか分かっていただけるでしょうか?

 

 

ドラッカーが教えるブランディングの極意

ここまで読んでくださったあなたならお分かりいただけたかもしれないのですが、このTさんは典型的な

「自分を小さく見せている」方

だった訳です。

 

Tさんはご自身の仕事を「清掃業」であり「建物を綺麗にする仕事」と定義していました。

それを別に間違いだと言うつもりはありません。

とは言えそれだけでは、その仕事の「本来の姿」が見えているとは言えないのです。

 

建物を綺麗にする事で、そこにいる人がどのように感じるのか。それによってその人がどのような行動をするのか。

そこまで考えたら、ただ単に「建物を綺麗にする仕事」で終わる訳がありません。

 

ドラッカーで有名な「3人の石切り工の話」はまさにそうですよね。

同じように石を切り出していても、

ひとりは給料のために石を切り、

ひとりは自分のスキルアップのために石を切り、

ひとりは大聖堂を建てて多くの人を笑顔にするために石を切る。

 

自分のやっている事がどのような価値を持っているのか。

自分の「本来のありのまま」とは何なのか。

その意識によって、歩む道程も、辿り着く場所も、全然違ったものになります。

 

ちなみにこのTさん、これをきっかけに自分仕事の「本来のありのまま」つまり「仕事の定義」を変えて仕事に取り組んだ所、お客様からの評価と従業員のモチベーションが上がり、結果として売上も利益もアップしたのだそうです。

「親から受け継いだ会社」ではなく「自分の大切な仲間がいる会社」という風に意識が変わったと、嬉しそうに報告してくれました。

 

彼なりに「清掃業の本来のありのまま」を考えて、それを行動に移した結果です。

そしてこれはTさんだけに限った話ではありません。

あなたにだって可能なんですよ。

 

 

人間の本来の「真面目」とは何だろうか?

あなたの「真面目(しんめんもく)」、つまり「本来のありのまま」は何でしょうか?

これはブランディングにおいて絶対的な基礎となる「コンセプト」に関するとても重要なポイントです。

 

こういう話をすると

「ただの精神論で意味が無い」

と言う人がいたりします。

(実際に言われた事もあります・笑)

ただ僕に言わせれば、これを「ただの精神論」としか見えない目しか持っていないからこそブランドになれず、「その他大勢」に埋もれてしまっているんですけどね。

 

別に「自分はすごい存在なんだ」というような、くだらない事言わなくていいんですよ。

高級レストランでの会食や、車や時計や華麗な人脈なんてわざわざアピールする必要はありません(笑)

 

あなたのやっている事は何なのか?

あなた自身が誰をどんな風に喜ばせられるのか?

それをきちんと考えて、きちんと伝えつつ、きちんと行動していけばいいんです。

 

大事なのは、あなたがあなた自身の

「本来のありのまま」という「可能性」

を潰さない事です。

 

あなた自身のする事、あなた自身には、多くの人を笑顔に出来る大いなる可能性がある。

という

「あなた自身の本来性」

つまり

「あなた自身の真面目(しんめんもく)」

を信じる事です。

 

僕は

人を喜ばせる事、それこそが

「人間の本来性」

つまり

「人間における真面目」

である。

と考えています。

 

あなたの「本来の素晴らしさ」に是非気付いてください。

そしてその力で、多くの人を笑顔にしてください。

あなたの「真面目」が存分に発揮されますように。

 

 

阿部 龍太

 

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