西郷どんから学ぶ「選ばれるビジネス」を作る3つの法則

「ブランドデザイン」科

「阿部君、今度の大河は面白そうだよ!」

 

友人が興奮気味に教えてくれました。

今度の大河は「西郷どん」

日本史上top50に入る(幕末〜明治限定なら確実にtop10)くらいの有名人(だと思う。多分)、西郷隆盛さんのドラマだそうな。

 

とは言え、僕はテレビを持っていないため番組を観られない。

「残念…」

と思っていたら、そう言えば西郷さんに関する本を持っていた事を思い出して本棚から出してみました。

 

その本とは

 

「西郷南洲遺訓」

 

というもの。

 

これは西郷さん本人が記したものではない(西郷さんは自分の記録を残したがらなかったらしいです)のですが、第三者によって、西郷さんとの会話を記録したもののようです。

明治維新後の国づくりについての西郷さんの意見が書かれている本なのですが、これがまた、商売にも応用できる事が少なからずありまして。

その中から今回、3つのポイントをシェアしてみようと思います。

 

 

1.ただの猿真似は意味が無い

 

広く各国の制度を採り、開明に進まんとならば、先ず我国の本体を据え、風教を張り、然して後徐かに彼の長所を斟酌するものぞ。

否らずして猥りに彼に倣いなば、国体は衰頽し、風教は萎靡して匡救すべからず。

終に彼の制を受くるに至らんとす。

 

(「西郷南洲遺訓」より抜粋)

 

とあります。

これを現代風に訳すならば

 

国づくりにおいて、広く西欧諸国の制度を取り入れ、文明開化を推進しようとするならば、まず自国の特質をきちんと理解し、道徳の教えを強化して、その上でじっくり諸外国の長所を取り入れるべきである。

そうせずに、ただむやみやたらに西欧諸国の真似をするだけならば、国は弱くなり、日本人の道徳も失われて救い難い状況になってしまう。

そうなれば、アジアの他の国々のように、西欧諸国の好き勝手にされてしまうだろう。

 

という事になります。

そして、これを「商売」という視点で観るならば

 

商売を発展させたければまず、自社の特質をきちんと理解し、ビジョンやミッションをきちんと共有して、その上で他者の成功事例を学ぶべきである。

そうせずに、ただ成功事例を学ぶだけでは、発展にはつながらない。

そうなれば、会社は衰退し、最悪商売が立ち行かなくなってしまう。

 

という形になります。

 

これに関しては、商売に限らず

 

イビチャ・オシムさん(元サッカー日本代表監督)

エディー・ジョーンズさん(元ラグビー日本代表HC)

 

といった偉大な指導者達も同じ事を言っています。

 

学ぶ事は確かに重要です。

でも、ただのモノマネでは、今の時代生き残れません。

 

ブランドという観点で言うならば

 

「比較された時点で負け」

 

なのです。

 

そうではなく

 

「比較されない価値」

 

を作る。

もしあなたが、マンパワーも資金力も小さい企業やお店なのであれば、これが必須条件です。

 

そのためには、西郷さんの言う

「自分の特質の理解」

というものをベースに置いた上で、外から吸収する必要がある、という事なのです。

 

あなたの「特質」は何でしょうか?

是非一度考えてみる事をお勧めします。

 

蛇足ですが、今の日本はどうでしょうか?

西郷さんの言う通りになってはいないでしょうかね…

 

 

2.コンセプトを大切にしよう

 

或は耳目を開発せんとて電信を懸け、鉄道を敷き、蒸気仕掛けの器械を造立し、人の耳目を聳動すれども、何に故電信・鉄道の無くて叶わぬぞ。

 

(「西郷南洲遺訓」より抜粋)

 

これを現代風に訳すならば

 

電信や鉄道、蒸気器械といったものを導入して人々の注目を集めようとしているけれど、そもそも何のために導入するのか、本当に世のために必要なものなのかを理解した上で導入すべきだ。

 

となります。

そして、これを「商売」という視点で観るならば

 

ただ物珍しさだけの商売をしても、売れるのは一瞬。すぐに真似されて価格競争に陥ってしまう。

そういう商売よりも、なぜその商品が、なぜその商売が必要なのか。誰を喜ばせられるのかをきちんと考えて商売をした方が、長くお客様に喜んでいただける(=長く売れ続ける)

 

となる訳です。

ひとことで言うならば

 

「コンセプトをきちんと意識して行動しよう」

 

というものです。

 

上でもお伝えしているように、今の時代は同じようなモノで溢れています。

どうすればその中から、お客様に選んでもらえるのか?

 

その根本には

 

「コンセプトにいかに共感してもらうか」

 

という要素があるというのが僕の意見です。

 

アップルや、スノーピークやバルミューダといった、

 

「高くても売れる商品」

 

は、この「コンセプト」をベースに全ての商品が存在しており、その商品のファンは、その商品に脈打つ「コンセプト」に共感している訳です。

 

あなたはなぜ、その商品・サービスを提供しているのでしょうか?

何のため?誰のため?

その辺りを考えつつ商売をしていったら、面白い事になると思うんですよね。

 

 

3.すべての原点は、人。

 

何程制度方法を論ずる共、その人に非ざれば行われ難し。

人有て後方法の行わるるものなれば、人は第一の宝にして、己その人に成るの心懸け肝要なり。

 

(「西郷南洲遺訓」より抜粋)

 

これを現代風に訳すならば

 

どんなに制度や方法について論議しても、それを実際に行う人がそれに相応しいレベルの人物でなければ、何の価値も提供できない。

まず人があって、何事も行われるものだから、人こそ第一の宝であって、自分がそういう「宝」になるべく心がける事が重要である。

 

となります。

そして、これを「商売」という視点で観るならば

 

どんなに優れたビジネスモデルやマーケティングの仕組みを構築したとしても、それを実際に行う人がそれに相応しいレベルの人物でなければ、何の価値も提供できない。

ビジネスモデルやマーケティングも重要なものではあるけれど、それらを実際にお客様に提供するのは人。

だからこそ、人として自分自身の質を高める事が重要だ。

 

となる訳です。

 

世の中には素晴らしいビジネスモデルや優れたマーケティング手法を教えてくれる人が少なからずおられます。

でも、そこで学んでもほとんどの人が成果を残せない現状があります。

 

なぜか?

 

そこには、西郷さんの言う「人の質の問題」が原因の一つとして存在していると思うのです。

 

以前、こんな事がありました。

某インターネット企業の旅行会社で扱っていたバスツアーで、死傷者が出るレベルの大きな事故が起こりました。

 

その事故の後、被害者の人達に

「ご旅行はいかがでしたか?アンケートにお答えください」

というメールが届いたのだそうです。

 

この件に関して、その某企業は、そのアンケートメールは自動で送られるように作られていた、と釈明していました。

 

ただ、元エンジニアの端くれの僕から言わせていただくのであれば、事故やトラブルが起こった時には送らないようにシステムを構築する事は技術的に十分可能です。

でも、その某企業ではそのような事をまったくしていなかった。

システムに心が入っていないんです。

まさに「仏作って魂入れず」というもの。

 

その企業は他にも運営しているショッピングモールの営業でも、オフホワイトどころではなく結構ブラックな運営をしている事で有名です。

そういう企業がいくら社内公用語を英語にしたり、球団を買収したりしても、何の意味があるのか…

個人的にはよく分かりません。

 

まあ、僕が無知なだけなんでしょうけどねえ。

 

あなた自身、そしてあなたの部下は、商売人としてどうでしょうか?

人としてどうでしょうか?

ビジネスモデルやマーケティングと同じくらい、考えてみて欲しいのです。

 

 

おまけ.この本の持つ「隠された意義」

最後に、この本の持つ「隠された意義(と僕が勝手に思っている)」についてお伝えしたいと思います。

上でもお伝えしましたが、この本は、西郷さんが書いたものではありません。

そうではなく、この本は庄内藩(現在の山形県庄内地方)の人達が書き記したものなのだそうです。

 

なぜ薩摩(鹿児島)とは関係ない人達が、西郷さんの話を書き記したのか?

そこには、こんな逸話がありました。

 

時は幕末。

当時、江戸の警備を任されていた庄内藩士達は、薩摩藩の挑発に乗ってしまい、薩摩藩邸を焼き討ちしてしまいました。

それが有名な戊辰戦争の引き金となり、時代を変える戦いが始まります。

そして最終的に、庄内藩は新政府軍に降伏。

藩士達は厳罰を覚悟します。

 

ところが、実際に下された処分は予想外に寛大で、藩主をはじめとする重鎮達はすべて命を赦されたのだそうです。

その処分が西郷さんから出たものだと後に知った庄内藩士達は、西郷さんを尊敬するようになり、その後藩主と主な家臣達は西郷さんに会いに鹿児島を訪れます。

西郷さんも彼らを歓迎し、様々な話をしたそうです。

 

そうです。

 

この時の話を庄内藩の人達がまとめたものこそ、この

「西郷南洲遺訓」

なのです。

 

自分たちの藩邸を焼き討ちした庄内藩を赦した西郷さん(ちなみに一説ではその焼き討ちも、西郷さんの計略だったとも言われています)

そして、かつての仇の西郷さんに敬意を持ち、教えを受けに鹿児島まで訪れた庄内藩の人達。

 

彼らの「絆」が、この本を世に残してくれた。

そう僕は思うのです。

 

 

「『絆』なんかで飯が食えるか」

 

と言う方がおられますし、実際に言われた事もあります。

 

でも実際には今は

 

「『絆』で飯が食える」

 

という時代です。

 

これは僕ごときが言うまでもなく、

 

・キングコング西野さん

・ホームレス小谷さん

 

といった方々が実際にそれを実現させていますし、僕のクライアントさんも彼らと比べれば微々たるものかもしれませんが、それを実現させられています。

 

西野さんは「絆」の力で書籍を30万冊以上販売し、小谷さんは「絆」の力で財布が空っぽでも海外に行き、寿司を食べられています。

 

彼らのような事は、あなたにだって不可能ではない。

僕はそう確信しています。

 

もしあなたが「売上」を作りたいのであれば、お客様(だけではなく、関わる人すべて)と「絆」を作る事を意識してみてください。

西郷さんと庄内藩の人達のような、敬意で繋がる関係性を作る事を意識してみてください。

それは、あなたの商売に大きな大きな利益を与えてくれますから。

 

応援しています。

 

 

阿部 龍太

 

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