「気になるお店があるんです。一緒に行きませんか?」
という訳で先日、クライアントのTさんに面白いお店に連れて行っていただきました。
約100種類の日本酒や焼酎や果実酒が飲み放題というお店。
日本酒が好きな僕としては、喜んでお誘いに乗ってみた訳ですが、実際に行ってみたら美味しいだけではなくてとても勉強になったというお話です。
飲食店に限らず、参考になる点があるのではないかと思います。
商品は、お酒のみにあらず。●●が商品だった
お酒は美味しかったです。
聞いた事も無いお酒ばかりで、そして中にはびっくりするくらい美味しいものもあって、美味しく頂きました。
ところがこのお店の「ウリ」はお酒だけではなかったのです。
もったいぶらずにお伝えしましょう。
このお店のお酒以外の「ウリ」、それは
「店員さんとの会話」
つまり
「コミュニケーション」
にありました。
例えば
・今、どんなお酒が入荷されていて(好みを聞いた上で)何がおすすめなのか。
・どのお酒にはどんなおつまみが合うのか。
・(それぞれの果実酒や焼酎について)どんな割り方が美味しいのか。
そういった色々な事をどんどん話してくれる。
そして、その話のお陰で、そのお酒をさらに美味しく味わう事ができる。
専門家としての要素と、酒好きの要素の双方がある。
この記事でもお伝えした「カリスマ」の世界の存在です。
実際に、チョコレートリキュールを手に取った所、とある女性スタッフの方のおススメトッピングを教えていただき、その流れでおススメのチョコレートブランドの話で盛り上がって、その後に
「お兄さんのチョコレートの好みなら、おススメのカクテルがありますから、お持ちしますよ!」
と、メニューに無いものをわざわざ作ってくださいました。
(確かに美味しかったです。スタッフさんありがとうございました)
なぜ、そんな事ができるのか?
ここでひとつ、冷静に考えてみて欲しいのです。
僕にカクテルを作ってくださったスタッフさん。
彼女からしたら、仕事がひとつ増えた訳です。
しかも別に頼まれた訳ではない。
つまり、自分で勝手に仕事を増やしている訳です。
なのに彼女は、嬉々として取り組んでいました。
まるで仲の良い友人と、おしゃべりしているかのように。
そして僕が見ていた限りでは、彼女だけではなく、店長さんを始め全てのスタッフさんがそういう風に動いていました。
つまり、このお店には、これらの記事でも書いているような
・お酒(とその生産者さん)に対する愛
・お酒を好きなお客様に対する愛
というふたつの「視点」があり、そして、
お客様と一緒に楽しもうとしている
という「姿勢」があった訳です。
そして、これらの視点と姿勢を支える「もうひとつのポイント」もありました。
それが、
これらの「視点」と「姿勢」を支えるための「環境づくり」
というものです。
例えば、グラス洗浄をセルフにしたり、食べ物を提供せず持ち込み制にする事で、スタッフさんたちの仕事を減らすというようなお店の「独自のビジネスモデル」
こういった事によって、スタッフさんはお客様とのコミュニケーションを磨く事に集中しやすくなる訳です。
スタッフさんの自主性にただ依存し、それを食いつぶすようなある種のブラック企業ではなく、スタッフさんの自主性を伸ばすための環境づくりも考えられている。
色々参考になるお店でした。
「また行きたい」と思ってもらうために
そして今回、あまり時間がなくて90分の時間制限プランで入店したのですが、上でお伝えしたようにスタッフさんとの話が盛り上がった結果、結局8種類くらいしか呑めませんでした(量にして2合くらいしか呑んでいないと思います)
でも、不満は全く無いのです。
それどころか「また行きたい」と感じられる。
これは一緒に行ったTさんも同じ感想でした。
「100種類のお酒が飲み放題」というお店に入ったのに、全然呑めなかった。
でも全く不満がなく、むしろまた行きたいと思える。
面白いですよね。
この記事でもお伝えしましたが「お客様に提供できる価値」というものは、色々な形のものがあるんだなと改めて気付かせてもらいました。
本当に「我以外皆我師」
全ての存在は何かを教えてくれているのだと思います。
いい勉強をさせていただきました。
Tさん、誘ってくれてありがとうございました。
さて、ここまで読んでくれたあなた、いかがでしょうか?
あなたが今、お客様に提供している「価値」は何でしょうか?
そして、それ以外に提供できる「別の価値」は無いでしょうか?
その「別の価値も」提供できるような「環境づくり」のために、何かできないでしょうか?
もしよければ、考えてみてください。
少しでも、あなたの参考になれば嬉しいです。
阿部 龍太
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