トンネルを抜けると、そこは… 〜「いのちの言葉」〜

「ライフデザイン」科

偉大な先人達から学ぶ「いのちの言葉」

このコーナーについては「こちら」からどうぞ。

 

【新コーナー】偉大な先人達から学ぶ「いのちの言葉」 〜「情熱が持てない」というあなたへ 〜
「人の身体は、食べたものでできている」 とよく言われます。 間違いとは言いません。 でも僕は、これには100%同意できない。 「人はパンのみにて生くる者にあらず。 神の口から出る一つ一つの言...

 

さて、今回あなたにお伝えしたい「いのちの言葉」はこちらです。

 

野村くんよ…トンネルってよ、いやあな時みたいだなァ。

一人っきりで寒くてよ…。

…でもな、

いつかは抜けるんだぜ。

 

(『うしおととら 第二十五章ー其ノ八』より抜粋)

 

ここで出てきた「野村くん」という学生は、親に理解されず、級友からはイジメに遭い、そのため、自分を押し殺して全く抵抗しないという生き方をしていました。

そんな中、彼の乗っていた電車が妖怪に襲われます。

 

乗り合わせていた主人公がその妖怪と戦い、乗客達も彼を助けようと自分なりの「抵抗」をしている。

そんな中、彼は恐怖でしゃがみ込んでいました。

何も「抵抗」しない状態。

 

そんな彼に、主人公の父親が呟きます。

 

いろんな不幸がなんで自分に起きるのか…

なーんて、先生にも私にも…誰にもわからんのさ。

でも…

抵抗するしかないもんなァ。

そのなんだかわからんもんにスネてみても…逃げてみても…仕方ねえもんなァ。

みんな…

自分のため、家族のため、抵抗すんだよなァ。

 

(『うしおととら 第二十五章ー其ノ八』より抜粋)

 

野村くんは「そんなコト…わかってる…」と返すのですが、そんな彼に、主人公の父親はこう続けます。

 

なら一緒に抵抗してくれる自分っちゅうパートナーを好きんなってやらんとなァ。

そのカオは、自分がキライでキライでしょうがねえって顔だなァ。

 

(『うしおととら 第二十五章ー其ノ八』より抜粋)

 

そしてこの後に続けたのが、上でお伝えした言葉です。

 

 

人は、孤独と共に、生きている。

人は皆「孤独」と隣り合わせで生きている。

僕はそう考えています。

 

自分の人生を生きれば生きるほど、時に孤独、つまり

「自分はこの世界でひとりきり」

と感じてしまう事がある訳です。

 

ソクラテス、ガリレオ、ココ・シャネル…

自分の人生を生きた人は多かれ少なかれ「孤独」を経験しています。

 

周りから理解されず、謂れのない非難を浴びてしまう。

そんな状況で孤独感を感じ、苦しくなってしまっても仕方ありません。

 

でも、それは別に悪い事ではない。

その「孤独」というトンネルはいつか抜けられるからです。

そして、そのトンネルを抜けると、そこには新しい世界が広がっているからです。

 

「しんどい時は、自分のレベルが上がった時」

 

この言葉は皆がご存知、かのジェイル大橋代官(聖飢魔II)の御言葉ですが、まさにこの「しんどい時」とは「トンネルの中にいる状態」なのだと個人的には思うのです。

 

孤独を感じている時。

苦しい時。

寂しい時。

 

そんな「トンネルにいる時」こそ、その「苦しみ」に目を向けて自分や誰かを責めるのではなく、その状態を少しでも良いものにするために「自分なりの抵抗」をする。

そんな自分を好きになる。

自分で自分を応援する。

 

アドラーの目的論ではありませんが、それが人生で前進するためには必要なんじゃないかと思うのです。

 

余談ですがこの野村くん、最後に勇気を振り絞って妖怪退治の重大な役を担います。

その後彼は、心の中で主人公に向かってこう呟くのです。

 

あり…が…と

僕は…

僕はやっと……

自分がーー

好きになれそうだよ。

 

(『うしおととら 第二十五章ー其ノ拾』より抜粋)

 

野村くんは結果として妖怪から助かりますが、仮に助からなかったとしても彼は同じ言葉を呟いたと僕は考えます。

自分を押し殺すのはなく、自分の意志で行動した。

納得のいく事をやった。

助かったという結果ではなく、それが彼にとって大きかったのだと思うのです。

 

もし今のあなたが「トンネルの中」にいるのであれば、彼のようにほんのちょっと勇気を出してみてください。

問題に目を向け、誰かや自分を責めるのではなく、自分の欲しい結果のために自分なりの小さな抵抗をしてみてください。

そういう自分自身を応援してあげてください。

 

そんなあなたを、他の誰かも応援してくれていますから。

 

 

阿部 龍太

 

 

【追伸】

この記事を書くにあたって久しぶりに『うしおととら』を読み返してみましたが、藤田先生の絵はやっぱり味があっていいですねえ。

 

 

コメント

  1. よこやまともこ より:

    「私が私でなければ、親と仲良くできたのに」
    そう思っていた子供時代。
    大人になってからも自身を否定する癖は抜けず、うまくいかないことばかりでした。

    そんな状態の自分をなんとかしたくて、あがいていました。
    阿部さんのブログは私を変える力です。
    私が経験してこれなかった世界を見せてくれます。
    今回のブログで「ああ、自分は自分のファンであればいいんだ」と目覚めました。
    失敗したら励ます、成功したらともに喜ぶ。
    ただ好きで、ただ応援するファンという存在が私にはなかったんです。
    自分自身を含めて。

    小さな抵抗が今の私にとって何なのか。
    まだつかめてはいませんが、トンネルの出口は見えています。
    ありがとうございました。

    • 阿部龍太 より:

      よこやまさん

      コメントありがとうございます。

      よく「自分に勝つ(克つ)」という言葉を使う人がいますよね。

      僕はその言葉や頑張ろうとする意志は尊重しますが、その「前提」に間違いがあるように思います。

      何が間違っているかと言えば「自分自身を敵」と見なしているという事。

      自分自身を「敵」と見なしてしまうと、自分の周りも「敵」と見なしてしまいます。

      常に誰かと比較してしまい、誰かを責める事になってしまいます。

      僕はそれが非常にもったいない事だと思うのです。

      逆に、自分自身こそが一番の「仲間」なのではないか、と思うのです。

      まず、今の自分を認める。

      自分が自分自身の応援団になる。

      できない事に目を向けるだけではなく、どんな小さな事であっても、できた事にも目を向ける。

      それが大切なのではないかと思うのです。

      よこやまさんのトンネル、抜けたらどんな風景が広がっているのか、たのしみですね。