「お客様は神様」の真実。それは…

「ブランドデザイン」科

「お客様は神様です」

 

この言葉を聞いて、あなたはどう思うでしょうか?

 

ちなみに僕はこの言葉に基本的に賛成です。

実際にブランド構築のお手伝いをさせてもらう時には、この事をクライアントさんに徹底してもらっています。

あなたがもし、自分をブランド化したければ、この概念は是非意識していただきたいものです。

 

ただ、どうもこの言葉を誤解している人が少なくないようです。

今日はその事についてお伝えしようと思います。

 

 

お客様は神様です。だから…

「お客様は神様」

この言葉を誤解している人は、このように捉えています。

 

お客様は神様です。

だから神様は大切にしなければいけない。

神様の言う事には従わなければいけない。

 

・・・

誤解です。

誤解も誤解。大誤解です。

 

なぜそこまで言うのか。

それは、ふたつの「大前提」が抜けているからです。

 

その「ふたつの大前提」とは

 

1.神様への信仰心

2.神様との関係性

 

というものです。

これからこのふたつについて説明していきましょう。

 

 

あなたは、神を、信じますか?

僕が考えている

「お客様は神様」を誤解している人に欠けている「前提」

そのひとつめは

 

1.神様への信仰心

 

つまり、

 

「その神を信じるかどうか」

という

「信仰心の有無」

 

というものです。

 

この世界にはたくさんの神、たくさんの宗教が存在しています。

そして、ある宗教を信仰している人は、別の宗教を信じません。

その信仰が敬虔であればあるほどね。

 

実際に宗教の名の元に戦争さえ起こしてしまう。

それだけ「信仰」というものは(色々な意味で)力を持っています。

 

何が言いたいのか?

つまり

 

「神様」を大切にするのではなく、「あなたが信仰している神様」を大切にしましょう。

 

という事。

そして

 

どの「神様」を信仰するのかは、あなたが決めればいい。

 

という事です。

 

 

「ターゲット」という概念

どの神を信仰するかを自分で決め、その神を大切にする。

これをブランド戦略に当てはめて言うのであれば

 

「ターゲットを絞る」

 

つまり

 

「お客様を選ぶ」

 

という事になる訳です。

 

あなたが信仰する神を、つまりあなたがあなたの商売を通じて喜ばせるお客様を決めるという事です。

とは言え、僕が言っている「神」とは、マーケティングで言われる「ターゲット」とは少し違うものです。

 

「ターゲット」とは「目標」や「的」という意味が元になっています。

つまり「当てる事」という「撃つ側の視点ありきの概念」です。

獲物を狙う狩人みたいなものですね。

 

マーケティングを勉強するとほぼ必ずと言っていい程出てくるこの言葉。

過去の偉大な先人達が生み出し、活用してきた概念。

僕のような若輩者がそれを間違いだと言うつもりはありません。

デモグラフィックでもサイコグラフィックでも、どんなペルソナ手法を使ってもいいと思います(まあ、アンケートはどうかと思いますが)

 

でも、この考えで商売をすると、どうしても自分の視点が強くなる人が少なからず出てきます。

そうなると「顧客満足」という視点が弱くなり「売れればいい」という発想に陥りやすくなる。

その結果、平気で嘘やごまかしに手を染めてしまうようになり、最終的にお客様が離れてしまう訳です。

 

プロフィールにも書いていますが、そういう悲しい結果になった人を僕は少なからず見てきましたし、そういった悲しい事例はそれ以外にも枚挙に暇はありません。

実際に大手企業を始め、大手マスコミや政治家までが今、少なからずそうなっている現状がある訳です。

そしてそれは「自分の視点」ばかりが強くなっている事が一因だと個人的には思うのです。

 

 

「ターゲット」なんてもう古い?

ですから「ターゲット」という概念からはもう卒業すべき、というのが僕の意見です。

 

では、どのように考えればいいのか?

実はここに「お客様は神様」を誤解している人に欠けている「前提」のふたつめ

 

2.神様との関係性

 

が存在しています。

 

一言で言うならば

 

神と人間の関係は「上下関係ではない」

 

という事。

 

神と言うと、

全知全能の存在で、人間を創ったもので、それ故に人間よりも偉く、尊く、逆らってはいけないもの

といった、すなわち

 

「上下(従属)の関係」

 

のイメージがあると思うのですが、僕の考える「神」は、少し違うものです。

商売で言えばお客だから上(下)とか、売る側が下(上)とか、そういう話ではないという事です。

 

詳しく話すと、ブランドとか商売とかを超えた宗教観の話になってしまうので、端的に申し上げるのであれば、僕の考える「神」とは

 

「愛すべき存在」であり「より良い関係性を築くべき存在」

 

というもの。

つまり「上下(従属)の関係」と言うよりは「横」すなわち「対等の関係」です。

ちなみにこれは、曹洞宗やユダヤ教の教えをベースに僕なりに考えた勝手なイメージですので、現在の宗教を批判するというような意図は全くありません。

 

ただ

 

「あなたを信じます。だから願いを叶えてください」

 

とか

 

「お金を払うんだから、お客の言う事は聞かなければいけない」

 

という関係性は個人的には違うと思うのです。

 

「神」は「ターゲット」ではありません。

「手に入れるべき存在」ではありません。

もちろん「依存する存在」でも「搾取する存在」でもありません。

 

僕の考える「神」とは「愛すべき存在」であり「より良い関係性を築くべき存在」です。

ある意味、大切なパートナーや友人のような存在です。

 

大切なパートナーや友人を騙そうとするでしょうか?

大切なパートナーや友人から何かを奪おうとするでしょうか?

大切なパートナーや友人に喜んでもらえたら嬉しくないでしょうか?

大切なパートナーや友人と一緒に生きていけたら楽しいと思わないでしょうか?

 

僕の伝えている「ブランド」や「商売」は、そういう事なのです。

 

 

今、あなたに、してほしい事

これらの事を元に僕が伝えたい、ブランド構築をするにあたってあなたにしてほしい事は

 

「自分はどういう人と、どんな関係性を築きたいか」

 

という事を考える、という事です。

 

先日、こんな記事を書きました。

 

「いい人」ほど「絶対に」ブランドになれない理由
「どのようにブランドを構築すればいいのか」 「どうすれば売上を上げ続けられるのか」 「どうすればファンが増えるのか」 仕事柄、そういう質問を受ける事が多々あります。 ちなみに 「ブランド...

 

この記事では

 

全ての人に好かれる事は不可能である。

だから、貴方の事を好きになってくれる人に向けてあなたなりのメッセージを発するべきだ。

 

という事をお伝えしていますが、これと今回の内容は通じるものになっています。

 

あなたは、どんな人とどのような関係性を築いていきたいでしょうか?

どんな人の笑顔を見たいでしょうか?

どんな人に囲まれて生きていきたいでしょうか?

 

まずそれを考えてもらいたい。

あなたの「神様」は誰なのか。それを決めてもらいたい。

そして、自分にできる事でその人を喜ばせる事だけに集中してもらいたい。

 

「●●●をしたら、クレームが出るんじゃないか」

「xxxをしたら、嫌われるんじゃないか」

 

そういう「あなたにとっての神様”以外の”存在」の事を気にする必要はありません。

まずは「あなたにとっての神様」だけに100%集中してください。

 

「誰が笑顔になったら自分は嬉しいだろう?」

 

「何をしたらあの人はより笑顔になるだろう?」

 

この問いに真摯に考え、出た答えに対してすべき事に真摯に取り組んでいく。

そうすれば「神様」は必ず微笑んでくれます。

 

よろしければ一度、考えてみてください。

 

 

阿部 龍太

コメント