商売に真面目にこだわる人がハマりやすい「落とし穴」

「ブランドデザイン」科

「商品やサービスにこだわりを持つ人」

 

僕はこういう人が好きで、応援したいと思っています。

ただ、こういう方とお話ししていると

 

「ああ、落とし穴にハマってるな」

 

と感じる事も少なくありません。

 

真面目に商売をしようとしているし、実際に提供する商品やサービスの質にもこだわっている。

なのに売れなかったり、お客様からの評判が良くない。

その根底にある、最も大きな理由と対策について今日はお伝えしようと思います。

 

 

こだわっているのに売れない一番の理由

結論から言いましょう。

 

こだわりの「目線」がひとつしかないからです。

つまり

 

「商品やサービスだけに目が向いている」

 

という状態です。

 

例えば

・高品質な素材を使う

・手作りで丁寧に作る

という様な。

 

これが「悪い」という訳ではありません。

ただ、上でもお伝えしているように、

 

こだわりの「目線」がひとつしかない

 

という状態、つまり、

 

自分の商品やサービス「だけ」に集中している状態

 

では売れるとは限らないのです。

 

では他に何が必要なのでしょうか?

 

 

当たり前だけど忘れられがちな「もうひとつの目線」

本当にこだわった商品やサービスとは、最低でも「ふたつの目線」、できれば「3つの目線」が必要です。

それは

 

1.自分自身への目線

2.他者への目線

3.世界への目線

 

というものです。

 

これらについての説明はこちらの記事でもお伝えしていますので、よければご参照ください。

 

「好きを仕事に」が上手くいかない3つの理由 〜「いのちの言葉」〜
偉大な先人達から学ぶ「いのちの言葉」 このコーナーについては「こちら」からどうぞ。 さて、今回あなたにお伝えしたい「いのちの言葉」はこちらです。 (「プロフェッショナルとは?」という問いに対して...

 

簡単に言えば

 

「自分が提供したい商品やサービス」

を意識するだけではなく

 

「お客様となる人が何に悩み、何を望んでいるのか」

も意識する事。

俗に言う「顧客目線」というものです。

 

このふたつの目線を持つ。

最低限必要なのだという事です。

 

 

ヒットする商品やサービスに必要な「ふたつの“ソウゾウ”」

企画というものを専門にしている方であれば、当たり前すぎる話なのですが、

 

物事を生み出すためには、ふたつの「ソウゾウ」が必要である。

 

と言われています。

 

ふたつの「ソウゾウ」とは

 

想像(imagination)

 

創造(creation)

 

というものです。

 

 

「夢をカタチに」するための方法

「夢をカタチに」

なんて言葉がありますが、この

「夢を見る」事が「想像」に

「カタチにする」事が「創造」に当たります。

 

今、この世界では、どんな人がどんな事で困っているのだろう?

どんな事をしたら笑顔になるのだろう?

世界は何を求めているのだろう?

・・・

 

というような「イメージ」を持ち、その「イメージ」を現実にするための解決策を「創造」する。

それがお客様を喜ばせる、つまり「ヒット」に繋がるのです。

 

例えばオーダースーツ。

イタリアのある有名な仕立て職人の話を聞いたのですが、彼はまず

「そのスーツを着て何をするのか」

という事を細かくヒアリングするのだそうです。

 

仕事で着るのであれば、どんな仕事なのか。

立ち仕事なのか、座り仕事なのか。

どんな人と会うのか。

靴やネクタイやシャツはどんなものを合わせるのか。

 

目の前の人の人生そのものをヒアリングし、その人生をより豊かにするために自分の持てる技術を注ぎ込む。

だからこそ、イタリアのオーダースーツは世界中で愛されているのでしょう。

 

イメージを持ち、それを現実にする。

これは何も商売に限った話ではありません。

ダイエットや勉強やスポーツ・・・全てに言える事ではないでしょうか。

 

 

あの大ヒットも「ふたつの目線」を持っていた

2017年、とある教材が大ヒットしました。

 

「うんこ漢字ドリル」

 

2ヶ月で200万部を突破した近年稀に見るヒット商品。

名前くらいは聞いた事があると思います。

 

しかしこの「うんこ漢字ドリル」、出版が決定してから実際に出版されるまで約1年の空白の時間があるそうです。

その1年、何をしていたか。

塾を回って、実際に子供たちに問題を解いてもらったり、保護者に見てもらったりして意見をもらうという「リサーチ」をしていたのだそうです。

 

そもそもこの「うんこ漢字ドリル」の大本は、映像ディレクターの古屋雄作さんがwebで発表していた「うんこ川柳」でした。

つまり例題の候補はあった。

だから、出版しようと思えばもっと早く出版できた訳です。

 

しかし文響社さんは、それをしなかった。

 

実際にそれを使うであろう子供たち、手に取るであろう保護者、扱うであろう書店、色々な人達にとって有益なのかを時間とお金と労力をかけてきちんと見極めたのです。

ただネタになるだけではなく、きちんと勉強できるようなドリルを、子供たちが楽しみながら学力を上げられ、親御さんと共に喜べるものを作りたい。

文響社さんの心には、そういう思いがあったのではないでしょうか。

 

 

ソウゾウしよう。そうしよう。

商品にこだわる。サービスにこだわる。

素晴らしい事だと思います。

 

であれば同時に、その商品やサービスを使ってくれたり、手に取ってくれる人にもこだわってみてはいかがでしょうか。

その人が何に悩んでいるのか、何に喜ぶのか、何を求めているのか。

それを少しでも理解し、それらを元にあなたの力を発揮する。

それが「落とし穴にハマらない」方法です。

 

別に「お客様に媚びろ」と言っている訳ではありません。

あなた自身の想いを曲げてまでやる必要はない。

そう思います。

 

しかし商売とは、お客様の抱える問題や悩みを軽減させ、喜んでもらってお金を頂くものです。

であれば、お客様の事を何も考えないという事は非現実的ではないでしょうか。

 

もちろん他人の事ですから、完璧に理解できる訳はありません。

それでも少しでも理解しようとする。

その歩みの中から「イノベーション」というものは生み出される。

 

個人的な意見ではありますが、僕はそう思うのです。

 

あなたのその商品やサービスはいかがでしょうか?

「目線」はどこに向いていますか?

その根本には、どんな「想像」がありますか?

 

是非一度、考えてみてください。

それがあなたの商品やサービスのヒットに繋がりますから。

 

 

阿部 龍太

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