先日、こんな記事を書きました。
サッカー日本代表に対して批判的な事を言っている人達は、実はポジティブなんだ、というお話です。
この記事の中で、ポジティブとネガティブの4つの関係についてお話ししましたが、その最後のひとつ
C:「一般的」ポジティブ
というものについて今日はお伝えしようと思います。
C:「一般的」ポジティブ
表面(言葉・行動)はポジティブなものの、内面(意図)がネガティブな状態。
これがC:「一般的」ポジティブというものです。
「言葉や行動」がポジティブ、であれば問題ないのでは?
と思われるのではないでしょうか。
確かにそういう風に見えると思うのですが、実はもうひとつの要素である
「意図」
こちらがネガティブな場合、少し状況が変わってくるのです。
「ポジティブなのに人生が上手くいかない」人
「やりたい事をやっているのに上手くいかない」
「ポジティブに考えるようにしているけれど、得たい成果が得られていない」
今まで色々な人の話を聞いてきましたが、そういう人が少なくないようです。
一見ポジティブに生きている。
でも、幸せを感じられていない(ネガティブな感覚を持っている)
こういう人の多くが実はこの
C:「一般的ポジティブ」
な人だったりする訳です。
例えば
「やりたい事をやっているのに上手くいかない」
という人。
その根本には
やりたい事をやっている「理由」がネガティブだから。
という理由がある事が少なくありません。
・何かから逃げるため
・何かを避けるため
・何かを見ないようにするため
・・・そのための「隠れ蓑」として「やりたい事」をやろうとする。
という事です。
「臭い物に蓋をする」というようなものですね。
実際に、以前のクライアントさんでこんな方がおられました。
「やりたい事をやっているのに上手くいかない」そんな人の根底にあったもの
ある専門分野の商品を扱っているYさん。
Yさんはその分野の商品が大好きなのだそうです。
「この商品の素晴らしさを多くの人に伝えたい」
そんな彼の思いに答えるべく、販売戦略を一緒に考えました。
しかし、Yさんの口から出てくるのは
「今までやった事が無いから難しい」
「●●だから無理」
という「やらない理由」ばかり。
そんな彼の根底にあったのは
「失敗したら、人が離れてしまう」という「恐怖」
というものでした。
「商品の素晴らしさを広めたい」
「お客様に喜んでもらいたい」
とポジティブな事を言っていても、その根底にあったのが
「失敗したら人が離れていく。それが怖い」
という恐怖。
だから、新しい事に挑戦できない。
今までの方法しか試せない。
だから状況も変わらない。
Yさんは「やりたい事」をやっていました。
でもうまくいっていなかった。
そしてその理由は、マーケティングやビジネススキルが理由ではありませんでした。
「恐怖から目を背けていた事」
それがYさんがうまくいかない理由の根本にあったものだったのです。
「逃げちゃダメだ」は本当か?
もちろん、別に何かから逃げたり避けたり、見ないようにする事が悪い訳ではありません。
でも、本来の原因を放っておいて、薬でごまかしているだけでは病気が治らないように、自分が目を背けているものを放っておいて「やりたい事」でごまかしているだけでは、自分が望むように人生を変える事は正直難しいと僕は考えます。
「やりたい事で上手くいく」
というのは
「自分の見たくないものから逃げるから上手くいく」
のではありません。
「やりたい事で上手くいく」
というのは
「自分を(そして他人も)喜ばせるから上手くいく」
のです。
この違いに気付いてください。
ただ、誤解されては困るので何度でも言いますが、
逃げる事が悪い訳ではありません。
「戦略的撤退」という言葉もあるように、逃げる事が最も正しい状態という時は確実に存在します。
僕自身、クライアントさんに逃げる事を提案する事もあります。
「逃げちゃダメだ」
と、某アニメの登場人物は言っていますが、時と場合によっては逃げてもいい。
僕はそう思っています。
ただ、そうでない時もある。
逃げない方がいい時もある。
という事です。
自分自身を追い込みすぎる事は百害あって一利無しです。
しかし、筋肉が負荷(トレーニング)をかけられる事で成長するように「適切な負荷」はより良い変化における必須条件でもあります。
その見極めは簡単ではありませんが、是非考えてみてもらいたいし、少しずつでいいから挑戦してもらいたい。
クライアントさんに対しても、自分自身に対しても、常に僕は、そう思っています。
「自分自身に勝つ」という事
何かを成し遂げた人の多くが「自分自身に勝つ(克つ)」というような事を言っています。
それって一般的には
「弱い自分=悪=倒すべき敵」
という風に認識されがちです。
「あなたが出会う最悪の敵は、いつもあなた自身であるだろう」
(ニーチェ)
とか
「自分自身にとって一番の障害であり敵なのは、自分自身なんだ」
(岡本太郎)
という言葉もあるくらいです。
実際に確かに時にそういう一側面はあるかもしれません。
でも僕は、自分自身を「敵」つまり
「自分と異なる、そして間違った存在」
と見なす見方には反対です。
自分の弱さは「異なったもの」でも「間違い」でもありません。
自分自身を構成するひとつの「要素」です。
生きるために過去の自分が選択したひとつの「特徴」です。
それが今の自分にとって必要の無いものであれば、それは「乗り越えるべき課題」となるものです。
そして課題を乗り越えると、それは即ち「成長」に繋がります。
つまり
「弱い自分=倒すべき敵=否定すべきもの」
ではなく
「弱い自分=越えるべき壁=成長をもたらすもの」
だというのが僕の意見です。
自分自身の弱さを「認識」する。
つまりそういう「弱さ」が自分の中にあるんだ、という事を理解する。
そしてその弱さを「越えるべき課題」として具体的にする。
どのような思考、どのような行動をとればその課題をクリアできるのかを考える。
そしてそれを試し、修正し、そしてまた試す。
それを繰り返していく事で、自分を成長させられる。
そういう意味では、自分の「弱さ」は敵どころの騒ぎではありません。
自分の「弱さ」こそ、自分を成長させてくれる「味方」となりうる存在なのです。
真面目な人ほど、自分自身の弱さが嫌になるものでしょう。
でも、あなた自身をもっと信じてみて欲しいのです。
あなたの弱さは、あなたを成長させるきっかけとなりうるものである。
あなたの中には、成長のきっかけだらけなのだ。
そんな風に、あなた自身をもっともっと、信じてほしいのです。
弱くてもいいんです。
怖くてもいいんです。
まずは、自分の中にそういうものがあるんだ、と理解してください。
それを否定せず、受け止めてください。
それがあなたの成長の第一歩となるでしょう。
応援しています。
阿部 龍太
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