ブランドデザインの観点から考える、都議選自民党大敗の裏にあった頽廃

「ブランドデザイン」科

「自分自身のイメージが、他者が持つイメージで決まってしまうのであれば、相手に良いイメージを持ってもらうためには、無理してでも相手の欲求に合わせる必要があるという事でしょうか?」

 

先日の記事

あなたが自分自身をどう思っていても、他者があなたをどう思っているかでイメージは変わってしまうんですよ。

という

 

「ブランドの二面規定」

 

というお話を、7月頭の都議選での自民党大敗に絡めてお話しました。

 

で、この「二面規定」の話、以前とあるセミナーでお話させてもらった事があるんですよ。

その時に頂いたのが冒頭の質問です。

 

つまり

自分で自分自身をどう捉えていようとも、結局のところ、他者が自分をどう捉えるかで決まってしまう。

ならば、とにかく他者の欲求や悩みを知り、それに合わせればいいのではないか。

そうすれば、ポジティブなブランドイメージを構築出来るのではないか。

という事。

 

マーケティング的な視点で言うならば

「マーケット・イン」的な思考

というものですね。

 

さて、これに対して、あなたはどう思いますか?

 

 

相手に合わせないとダメなの?

その時に僕がその方にお伝えした回答はこういったものです。

 

「相手に合わせる」

という事が間違いだとは言いません。

むしろそれ自体は重要な要素です。

 

ただ

「相手に合わせなければいけない」

というのは違うと思います。

 

その理由は、僕が考える「ブランディング」の定義にあるのです。

 

 

最早耳にタコ?でも言い続けます(笑)

僕が考えるブランディングの定義

それは

 

「自分が考える喜び、願い、理想と、そのための道筋を示し、仲間と共に歩んでいく。そのための思考と行動」

 

というものです。

 

何のために生まれて、何をして生きるのか。

答えられないなんて、そんなのは嫌だ。

(『アンパンマンのマーチ』より抜粋)

 

という詞がありますが、この

 

何のために生まれて、何をして生きるのか。

 

を自分なりに考え、色々な手段で伝えていく事。

それが僕の考える「ブランディング」というものです。

 

この

「色々な手段」

という部分に、具体的な商品やマーケティング手法が入るのですが、多くの人が売れないのは、この

「色々な手段」

ばかりに目が向いて

「何のために」

という部分が抜けてしまっているからです。

 

 

蛇足ですが、差別化のウソ

世間一般で言われている「差別化」とか「USP」というものの多くは全く役に立たないのですが、その理由がここにあります。

商品やサービスを中心にした「差別化」や「USP」は、かのイビチャ・オシムさんの言葉を借りれば

 

中身の無い豆

(イビチャ・オシム)

 

のようなもの。

何の意味も為さないものです。

 

なぜならば、そこには「人の欲求」というものへの理解が欠けているから。

マーケティングを少しでも勉強した人なら常識だと思いますが、顧客は自分が本当に欲しいもの、自分に本当に必要なものをきちんと理解していないものです。

 

「無理に売るな。客の好むものも売るな。客のためになるものを売れ」

(松下幸之助翁)

 

という言葉の通りです。

 

例えば、僕はメンタルトレーニングやボディデザインのサポートも提供していますが

「ダイエットが上手くいかない」

という人に対して、いきなり具体的なダイエットの話をするのは、友達同士の軽い世間話ならばともかく、専門家としてはちょっと勉強し直した方がいいと思うのです。

 

本当にその人がダイエットをしたいと思っているのか、本当にその人にとってダイエットが必要なのか、あくまでもそれは

「気付いている、表面的な欲求」

であり、本当にその人が望んでいる

「気付いていない、内面的な欲求」

というものが他にあるのではないか。

 

専門家として、それくらいは最低でも考える必要があると個人的には思うのです。

 

 

僕にはまったく理解できないのです。

「気付いている、表面的な欲求」

に合わせるのは簡単ですし、うまくやれば結構儲かります。

 

でもそれで、本当に相手は豊かになれるのでしょうか?

 

個人的には「No」としか言えません。

 

僕は今まで色々な人に会ってきましたが、ある起業家の方は

「お客様は不安を煽ってあげればすぐに食いついてくる。僕にとってはATMみたいなものです」

といった、笑撃の発言をしていました(苦笑)

 

そんな彼はかなり儲かっていました。

そう、彼だけは、ね。

 

それはそれでひとつのビジネスの形なので、否定するつもりはありません。

でも僕は、そういう搾取的な商売の在り方に疑問を感じるのです。

何が楽しいのかまったく理解できないのです。

 

だって自分だけが豊かになるより、大切な人と一緒に豊かになる方がはるかに楽しくないですか?

だから僕の考える商売、僕の考えるブランディングとは

 

「自分が考える喜び、願い、理想と、そのための道筋を示し、仲間と共に歩んでいく。そのための思考と行動」

 

というものであり、

 

「自分の思いを押し付ける」のでもなく、「相手にただ合わせる」のでもない。

「自分が考える喜びや願いや理想」を相手に伝わるように翻訳して伝える。

それに共感してくれた人に仲間になってもらい、その人達と一緒にその理想に向かって進んでいく。

 

これこそが僕の考えるブランディングの「本質」です。

 

ここに、今回自民党が大敗した、そして他の政党もまったく奮わなかった理由が隠されています。

 

・・・前フリ、長過ぎ?(汗)

 

 

自民党(を始めとする他の政党)に足りなかった事

ここまで読んでくださったあなたならもうお分かりかもしれませんが、今回の自民党(を始めとする他の政党)に足りなかったのは、前回お伝えした

 

相手(有権者)の視点で自分たちがどう見られているかをきちんと考えていない

 

という点に加えて

 

自分たちの考えている事、自分たちが目指している事をきちんと相手(有権者)に伝えられていない

 

という点が今回挙げられます。

 

僕も有権者の端くれですが、そもそも政治って国を、そして国民を善くするものだと思うんです。

政治家って、国を、そして国民を善くする人だと思うんです。

 

でも、ここしばらくの自民党(と他の政党)からはそういう香りはほとんど感じられなかった。

政治について自分たちの意見を持って侃々諤々と議論するのではなく、ただ相手を喧々囂々と口撃するだけ。

いい大人が子供の口喧嘩(しかも国民の税金を使って)するのか…って話です(失笑)

 

もちろん、僕が理解出来ていないだけで、彼らなりに国の事、国民の事を考えてくれている部分はあると思います。

ならば、それをきちんと出すべきです。

 

前回の記事でも言いましたが、インターネットやSNS等、伝えるための手段は色々あるはず。

なのに彼らは「伝える努力」を怠った。

その代わり、情けない醜聞や釈然としない疑惑ばかりがメディアによって有権者に伝えられた。

それで支持が下がらない訳無いでしょう?(苦笑)

 

だからこそ、その不支持の何割かが都民ファーストに流れた訳です。

つまり今回の大勝は、都民ファーストを支持するというよりは、

 

「他がダメすぎるから何とかしてよ都民ファーストさん、とりあえず今の所は期待してるから!」

 

という都民の方の願いの現れではないかと思うのです。

(その意味ではこれからが都民ファーストの真価が試される訳ですが)

 

 

お願いがあります。

ねえ、自民党と他の政党の皆さん。

一度考えて欲しい事があるのです。

 

あなたたちは、何をしたいのでしょうか?

 

何のために政治家になったのでしょうか?

 

この国をどうしたいのでしょうか?

 

我々国民をどうしたいのでしょうか?

 

そのために、あなたたちは何をするのでしょうか?

 

是非一度、考えて欲しいのです。

そしてそれを、少しずつでも、我々有権者に発信して欲しいのです。

我々有権者を、あなたたちの仲間にして欲しいのです。

 

だって我々だって、この国を少しでも善くしたいのだから。

 

これは、政治家に限った質問ではありません。

政治家ではない仕事をしているあなたにも当然当てはまります。

 

だから

「自分は政治家じゃないから関係ないや」

ではないのです。

 

どんな仕事であれ、正しく真摯に取り組めばお客様も自分も豊かになります。

であれば、ほんの少しかもしれないけれど国が豊かになりませんか?

 

そうです。あなたこそ、この国を豊かにする主人公、日本代表なんです。

素晴らしい可能性を持った存在なんです。

 

どうか、それを、忘れないでください。

 

 

阿部 龍太

 

 

 

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