アナキン・スカイウォーカーから学ぶ、自分と他人を好きになる方法

「ライフデザイン」科

嫌な出来事、嫌な人こそが、自分を成長させ、能力やパフォーマンスを高めるきっかけとなる。

 

という話を前回の記事でお伝えしました。

 

【参考記事】

わかっちゃいるけどやめられない。「善と悪とのゲーム」卒業の第一歩

 

そして、そのために

 

「“善悪”を“好き嫌い”に変換する」

 

という事をお伝えしています。

 

前回の記事でもお伝えしましたが、

 

1.出来事が起こる

  ↓

2.1に対して何らかの感情が発生する

  ↓

3.善悪のジャッジを行う

 

ではなく

 

1.出来事が起こる

  ↓

2.1に対して何らかの感情が発生する

  ↓

3.自分自身にとっての「好き嫌い」に言い換える

  ↓

4.3を基に、自分がどのような行動を取るのかを決める

  ↓

5.4で決めた行動を行う

 

という流れに変えるという事です。

 

そして、そのために

 

2.1に対して何らかの感情が発生する

 

この「感情」というものをうまくコントロールする事が必要な訳です。

 

ただ、これがうまくいかない。

そういう人が少なくない、という現状があるんですよね。

 

特に「怒り」や「恐怖」といった感情は、心の目を曇らせ、行動を誤らせ、その結果、自分が望んでいない結果を招いてしまうという事になりかねません。

 

かのマスター・ヨーダがこんな言葉を残しています。

 

「恐怖はダークサイドへの入り口だ。恐怖は怒りへと導き、怒りは憎しみへと導く、そして憎しみは苦しみへと導くのだ」

(『スターウォーズ・エピソード1 ファントム・メナス』より)

 

恐怖、怒り、憎しみという感情が、望まぬ苦しみを産み出してしまう訳です。

アナキン・スカイウォーカーがまさにそうでしたよね。

大切なものを守りたいと思っていたのに、何故か結果として、大切なものを傷つけてしまった。

でも、こういう事って、この世界のあちこちで起こっていますよね。

 

望んでいないのに苦しんでしまう。

そんな「善と悪とのゲーム」から卒業するために、この「感情」というものをどうコントロールするかが重要となる訳です。

 

今日は、この事について考えてみましょう。

 

*** 注意 ***

以降の内容に映画のネタバレを含みます。

スターウォーズのエピソード1〜3をまだ観ていない方はその旨ご了承ください。

 

 

「アナキン、ダークサイドに堕ちたってよ」

映画にて、アナキン・スカイウォーカーはダークサイド、フォースの暗黒面に堕ちてしまいますが、そのきっかけは

 

愛する妻、パドメへの愛情

 

でした。

 

妻が苦しんで死んでしまう未来を予知してしまい、それを何とかしたかった。

過去に母親の死も予知してしまった(そして実現してしまった)アナキンとしては、絶対に阻止したい訳です。

 

でも周りは何の頼りにもならない。

(個人的にジェダイマスター達はちょっと指導者としてはアレなような気がします。特にマスター・ヨーダはもう少し彼に対して言葉を尽くしていれば銀河の平和は守られていたかも…なんて思ったりして)

 

そんな時に、シスの暗黒卿、パルパティーンが

「ダークサイドの力なら死んだものをも蘇らせられるよ(ニヤリ)」

と囁く訳です。

 

そりゃあ、流されちゃいますよね(笑)

にんげんだもの。

 

でも、その結果、予知の通りに愛するパドメは死んでしまう訳です。

アナキンはもちろん、パドメも、生まれてきた子供たちも、友人だったオビワンも、誰も幸せになれない。

ラスト近くのシーンで、アナキンがパドメの死を知って絶叫する中、パルパティーンが笑みを浮かべるシーンがありますが、本当に色々と考えさせられました。

 

「in a galaxy far far away…」でなくても、こんな風に自分の感情に振り回されてしまい、自分を苦しめているような人がこの地球上には少なくない訳です。

 

仏陀が

 

「心に従わず、心の主となれ。

心は人を仏にし、また、畜生にする。

迷って鬼となり、悟って仏と成るのも皆、この心の仕業である。

だから、よく心を正しくし、道に外れないよう努めるがよい」

(『般泥洹経』より抜粋)

 

と言っていたり、キリスト教で

 

「自分の心を制することができない人は、城壁のない、打ちこわされた町のようだ」

(『箴言』25:28より抜粋)

 

と言われていますが、あくまでも感情とは人生を豊かに彩る「道具」であって、決して苦しいものにするものではないと個人的には思うのです。

「道具」なのですから、自分が道具に使われるのではなく、自分の意志で使う必要がある訳です。

 

…と言うだけなら簡単なのですが、では、どうすればいいのでしょうか?

 

 

感情をコントロールするための第一歩

「アンガーマネジメント」という分野があります。

読んで字の如く「怒りをコントロールする」ための方法論なのですが、その中にこんな内容があります。

 

「怒り」とは「二次感情」である。

つまり、

 

「怒り」とは二次的なもの、つまり別の感情(一次感情)から生まれるものである。

 

という事なのだそうです。

 

そしてこの「一次感情」というものが

 

不安や悲しさ、恐れや寂しさ

 

というものなのだとか。

 

つまり

 

「不安」や「悲しさ」や「恐れ」や「寂しさ」

これらがベースにあって、それによって

「怒り」が生まれる

 

という事なのだそうです。

 

ドラマなんかで、帰りが遅くなった娘に父親が

「今何時だと思ってるんだ!」

と怒鳴りつけたりするシーンがあったりします(今もあるのかな?)が、これは

「怒り」という「二次感情」

のベースに

「娘が帰って来なくて不安だ」という「一次感情」があった訳です。

 

「この一次感情をきちんと理解しましょうね。そうすれば怒りもコントロール出来ますよ」

と、アンガーマネジメントでは伝えてくれています。

 

 

彼が堕ちてしまった理由

アナキンがダークサイドに堕ちたのも

「愛する妻が死ぬなんて嫌だ!」

という「不安や恐れ」、則ち「一次感情」がありました。

 

だからこそ、ダークサイドに堕ちてまでも妻を助けようとした訳です。

 

でも、周りはそれを理解してくれなかった。

そのため彼は怒りに流されて、仲間だったジェダイの人達を、そして愛する妻すら傷つけてしまった。

そして、ジェダイ騎士団は消滅し、銀河の平和は失われ、愛する妻は死んでしまった。

 

彼はただ、妻を助けたかっただけなんです。

でも彼が「自分の不安や恐れ」という「自分の一次感情」に溺れてしまったために、最悪の事態になってしまった。

 

この「不安や恐れ」というものは、思想家のエーリッヒ・フロムの言う

 

「ナルシシズム」

 

にもつながるものです。

 

この「ナルシシズム」を滅茶苦茶ざっくりと説明すると

 

不安や恐れに支配されると、自分だけを守りたくなる。

それによって他者から奪う事しかできなくなる。

そして人生が苦しく、辛く、つまらないものになる。

 

という事です。

 

フロムは「ナルシシズムを克服しよう」と言っているのですが、これは則ち

 

「自分自身の事も、他人の事も、愛せるようになろうよ」

 

という事です(滅茶苦茶ざっくりですが)

 

では、どうすれば自分の感情をコントロールし、ナルシシズムを克服出来るのでしょうか?

 

 

自分と他人を愛する第一歩

そのための「3step」がありますので、ここで紹介しましょう。

 

【step1】

自分が怒りの感情を持っている時に

 

「自分は何を不安に感じているんだろう?

何を恐れているんだろう?」

 

と考えるという事です。

 

例えば、以前の記事

「電車でのマナーが悪い人」

を例に出しましたが、仮にあなたがそういう人を見て怒りを感じたとしましょう。

 

【参考記事】

わかっちゃいるけどやめられない。「善と悪とのゲーム」卒業の第一歩

 

その時に

 

「自分は何を不安に感じているのだろう?

何を恐れているのだろう?」

 

と考えてみる、という事です。

 

【step2】

さらに言えば、その時、頭の中で考えるのではなく、

 

文字にする。

 

スマホや携帯や手帳、何でもいいので、その時の自分の感情を「文字」で表してみてください。

これによって、自分の事をより客観的に観られるようになります。

 

【step3】

そしてstep2で出てきた感情を

 

受け容れる。赦す。

 

出てきた気持ちがどんなものであっても、それを

「こんな感情があるなんてダメだ」

といった「善悪」で判断するのではなく、

 

「そういう時もあるよね。仕方ないよ」

 

と受け容れ、自分を赦してください。

 

もしここでどうしても受け容れられない、赦せないのであれば、その「赦せない」という感情に対してまたたstep1に戻ってみてください。

 

この3stepを繰り返す事で、感情のコントロールが自然に出来るようになります。

 

ちなみにstep1は自分だけではなく、他人に対しても使う事が出来ます。

 

怒っている人を見たら

「この人は何を不安に感じているんだろう?

何を恐れているんだろう?」

と考え、

出来れば、文字にして、

それを、赦す。

 

これによって、相手の怒りに影響されて、自分が嫌な気分になる事を軽減させる事が出来ます。

 

実は以前、「電車の中のマナーが悪い人に対する怒り」について、実際にクライアントさんにワークをしてもらった事があるのです。

その時に出てきたものは

 

「自分はきちんとマナーを守っているのに…(あの人ばかりズルい)」

「あなたのマナーの悪さに私は我慢してるのに…(それを分かって欲しい)」

 

というような感情でした。

 

そしてその感情を「そういう時もあるよね。そう感じても仕方ないよね」と受け容れました。

 

その後も怒りの感情を感じる度にこのワークを心がけていた所、同じような出来事が起こっても、それほど怒りの感情が出てこなくなったのだそうです。

 

「怒りの感情は出る事は出るのですが、自分の一次感情が何なのかを考えるクセがついたために、すぐに落ち着くようになりましたし、そんな自分を『よくやった!』と誇らしく感じるようになりました。

また、怒ってる人を見ると、今までは鬱陶しいだけだったのですが、今は『不安や恐れに負けるな!頑張れ!』と感じるようになりました」

(クライアントMさんのメールより抜粋)

 

Mさんは、良くも悪くも結構感情的な方で、自分も他人も「善悪」で判断してしまうクセがありました。

そんな彼が、こんな風に変わるのです。

(やったねMさん)

 

それ以外にも、子供との関係性が大きく改善した母親やお客さんとの関係性が大きく改善した経営者さん等、このワークで人生を変えている人は少なからずおられます。

 

あなただって、絶対に変われます。

 

自分が何を恐れているのか、何を不安に感じているのか、一度問いかけてみてください。

そして出てきた答えを、善悪をつけずに受け容れてあげてください。認めてあげてください。

 

あなたが暗黒の道ではなく、「光の道」を、進むべき「輝ける道」を歩む事を祈っています。

 

 

阿部 龍太

 

 

 

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