日大アメフト部の発表から学ぶべき、売上が上がる組織運営のコツ

「ブランドデザイン」科

先日、大学スポーツで残念なニュースがありました。

日大と関学大の試合で、日大選手が関学大選手に危険なタックルをし、怪我をさせてしまったという事です。

 

この事件に対して今、色々な所で色々な声が上がっています。

その中で今回、アメフトに関わらず、商売においても非常に重要な点があったので、ここでお伝えしようと思います。

 

なお、ここでは「過去」や「推測」に対しては取り上げません。

「監督が過去に何かを言った・言ってない」というような事実かどうかも分からない事に対して、外野が知った顔して感情的にあれこれ叫ぶのは、その辺のワイドショーの暇な人達に任せて、我々は「今起こっている事実」からきちんと学び、そしてきちんと活かしましょう。

 

現時点での「事実」から「きちんと考える」

蛇足ですが、何かを解決したいと思った時には、是非これを意識する事をお薦めします。

そもそも当事者以外の人間が誰かの善悪を審判する筋合いはないのですから。

 

 

日大からの公式回答の「衝撃」

この事件に対する関学大の抗議に対して後日、日大からこのような回答があったそうです。

 

弊部としましては、アメリカンフットボール公式規則に掲げるフットボール綱領を尊重しており、意図的な乱暴行為を行うことなどを選手へ教えることは全くございません。

弊部の指導方針は、ルールに基づいた「厳しさ」を求めるものでありますが、今回、指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質と認識しており、指導方法に関し、深く反省しております。

日大アメリカンフットボール部からの回答書より抜粋。下線は阿部による追加)

 

この中の下線部分。

つまり

 

「指導者の指示」と「選手の理解」にズレがあった

 

という事。

 

指導者が「A」を指示しているのに、選手は「B」を実行してしまう。

これが事実であれば、組織としては、もう本当に、完全にアウトな訳です。

指導力の有無というレベルではありません。

そもそも論、土台となる「コミュニケーションの質」が粗雑すぎるという事です。

 

こんな状況でプレーしていた日大の選手達には心から同情しますし、それ以上に怪我をした関学大選手の回復を心から願っています。

 

ただし、それだけで終わらせるべきではないと僕は考えます。

この問題はスポーツに限らず、商売でも当てはまる事だからです。

 

 

キレイになりたいなら…

強固なブランドを構築できている企業は当然ですが

 

「会社としての進む道」

「その会社の各個人が行っている事」

 

が一致しています。

 

「A」をする、と決めたら「A」を行う。

「B」をする、と決めたら「B」を行う。

 

というような。

 

逆に、これらが一致していないと、商売としてはもう致命的な訳です。

 

「A」をする、と決めているのに「B」を行う。

「B」をする、と決めているのに「N」を行う。

 

というような。

ひどいものになると会社として「顧客第一」なんて謳っておきながら、実際には商品偽装に手を染めている…そんな事は、残念ながら少なくないですよね。

 

ここに、今回の日大アメフト部の

 

指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていた

 

という事がまさに当てはまる訳です。

 

指導者の伝えた内容

選手が受け取った内容

が違う。

 

それはもう「チーム」と呼べない、ただの「烏合の衆」なのです。

成果が出る訳がありません。

 

この「一致させる事」をブランド構築の視点で言うと

 

「インナーブランディング」

 

というものになります。

 

「インナー」つまり組織の内部のブランディング。

会社の方向性をきちんと決め、そして社内の各部署の各個人がその方向にきちんと進むように組織を整える事を指します。

 

別の言い方をするのであれば

 

キレイになりたければ、食事や生活習慣を見直して、体の中から美しくしましょう。

 

というようなものです。

 

 

厚化粧したらキレイになれる?

ちなみにブランディングを教える人の多くは

 

・マーケティング

・商品企画

・SNSでの告知

 

といった事を「ブランディング」としているようですが、これは

 

「アウターブランディング」

 

というもの。

つまり顧客という自社の「外(アウター)」に向けたブランディング手法です。

 

別の言い方をすれば

 

キレイになりたければ、きちんとお化粧をして、流行の服を着ましょう。

 

というようなものであり、これは「ブランディング」というものの「一側面」にすぎません。

 

「インナーブランディング」

「アウターブランディング」

双方が合わさってこその「ブランディング」なのです。

 

双方をきちんと整える事で強固なブランドが構築され、商売の成功に繋がります。

ただ残念ながら、それをきちんと理解しているコンサルタントや企業はそれほど多くはありません。

多くはどちらか片方ばかりを重視し、もう片方を軽視している。

 

個人的にはアウター偏重が多いと感じていますが、それはもう

 

「中身はどうでもいいから、とにかく服と化粧でごまかせ!」

 

って言っているようなもの。

 

それではいくらがんばっても、なかなか成果に繋がりません。

 

今回の日大アメフト部で喩えるならば、

 

「監督と選手の意思疎通(インナーブランディング)」が脆弱なために「理解した事を試合で実行する事(アウターブランディング)」が失敗してしまう。

その結果「得たい成果(試合の勝利)」が得られない。

 

となる訳です。

 

そしてこれは、アメフトに限った話ではありません。

一般企業においても、そういう管理者とスタッフのコミュニケーションの「ズレ」によって、業績がどんどん下がってしまう事は枚挙に暇がありません。

しかし同時に、その「ズレ」をきちんと修正すれば業績が上がる事も枚挙に暇がありません。

 

実際に以前、こんな事がありました。

 

 

あるお店の復活劇

以前、とあるセレクトショップのお手伝いをした事があります。

お店に置いてある品物はオーナーさんがこだわって仕入れたもので品質には自信がある。

そして色々なマーケティングを学び、実践している。

しかし、お店の売上という成果には繋がっていない。

スタッフの研修もしているけれど、成長があまり感じられない。

 

これはまさに、今回の日大アメフト部の事件と似たものが根底にありました。

オーナーさんが考えている方向性、そしてスタッフさんに望んでいる事

スタッフさんが考えている方向性、そして彼らが実際に行動している事

このふたつにズレがあった訳です。

 

スタッフさん達はオーナーさんの想いを理解できていないし、オーナーさんはスタッフさん達の思考を理解できていない。

チームとしては致命的です。

結果として、お店の売上が伸びる訳がありません。

 

なので僕がした事は、この双方を繋げる事。

オーナーさんが何を考え、何を望んでいるか、そのために何が必要なのかを明文化し、それをスタッフさん達に100%理解し、その上で自分たちで考えて行動してもらう。

そのためのコミュニケーション導線を整え、指導法を確立させました。

とは言えスタッフさんは20人近くいたので、まずは新人スタッフKさんに指導をしてみました。

 

2ヶ月後。

 

Kさんの売上は、全スタッフ中2位。

彼女の売上金額は、指導をする前の20倍以上になりました。

 

特別なセールステクニックのようなものは一切伝えていません。

なのでこの成果は、Kさんの能力が高かっただけの話で、僕の成果でも何でもないのが真相です(笑)

 

「すべての人間には可能性があり、開かれるのを待っている」

 

これは僕の座右の銘とも言ってもいいものですが、このKさんの事例はまさにこれを体現できたものだと思うのです。

そしてその可能性を活かすも殺すも、その組織を管理している人次第なのだという事も。

 

 

京都駅の新幹線に乗ったら、どこに着く?

もし、今のあなたの状況が望ましくないものであるならば、是非一度考えてみてほしいのです。

 

1.組織の進むべき道はどこなのか?

 

2.今の自分がやっている事は何なのか?

 

3.1と2はきちんと繋がっているのか?

 

(個人で仕事をしているのであれば、1の「組織」を「自分」に変えて考えてみてください)

 

東京駅で京都行きの新幹線に乗ったら(途中下車をしなければ)京都に着きます。

どんなに間違えてもバルセロナには着きません。

 

でも現実世界では、京都行きの新幹線に乗っているのに、バルセロナに行こうとしている人が少なくない。

その結果「行きたい所に行けない」と落ち込んだり、誰かを責めたりしてしまう。

そんな事していたら、行き着く先は「悲劇」や「地獄」しかありません。

そしてそこに着いてしまうと、後戻りは非常に難しい訳です。

 

だからこそ、もし、今何かが違うと感じているのであれば上記の3つを考えてみてほしい。

具体的なマーケティングやブランディングや広告テクニックはその後の話です。

方向性をきちんと認識するからこそ、そのために必要な事が見えてきます。

 

あなたがどこに進もうとしているのか。

是非考えてみてください。

 

最後に、今回怪我をしてしまった関学大選手の一日も早い回復と、怪我をさせてしまった日大選手の心のケアを、一人の大人として、元大学アスリートとして、心から願っています。

 

 

阿部 龍太

 

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