町おこしや地方創生で99.9%失敗する方法

「町おこしデザイン」科

最近「町おこし・地方創生」についての相談を連続で受けました。

様々な地域、様々な内容でしたが、その中で

「町おこし・地方創生で99.9%失敗するポイント」

というものを見つけたので、今回紹介しようと思います。

 

では早速、このお二方に登場していただきましょう。

 

ニャオ・ブランドー(♂)

猫界の頂点に成り上がるべく、ブランディングが必須だと考えている猫。

好きな食べ物はしらす。今まで食べたしらすの数は覚えていない。

なお某漫画のキャラクターとは何の関わりもない(荒木先生ごめんなさい)

阿部龍太(♂)

エコブラ塾長。

ブランディングプランナーとして、経営者や商品等のブランディングをサポートしているヒト科オッサン目。

好きな食べ物はお鮨。赤身と光り物が特に好き。

好きな言葉は「人間讃歌」

愛読書はもちろん『ジョジョの奇妙な冒険』(特に2部・5部・7部)

ニャオ・ブランドー

塾長、どうしたニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

ああニャオさん、いや実は先日、地方創生についての相談を何件か受けまして。

 

ニャオ・ブランドー

地方創生?

 

エコブラ塾長・阿部

そうです。言ってみれば

「町のブランド化」

みたいなものです。

 

ざっくり言えば、

町そのものを人気スポットにして、観光客とか、移住する人とかを増やして、町を豊かにする

というものですね。

 

ニャオ・ブランドー

ニャるほど。

僕も沼津に住んで毎日しらす食いたいニャ。

ああ、用宗もいいニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

いやニャオさん、住んでなくても毎日食べてるじゃないですか。

まあそれはいいんですが、ちょっと気になる事がありましてね。

 

ニャオ・ブランドー

どうかしたのかニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

いや実は、その時相談してくださった方、

色々な地域の方がおられたのですが、その全てが、

「ある勘違い」

をしてまして。

 

ニャオ・ブランドー

勘違い?

 

エコブラ塾長・阿部

そうなんです。そしてその勘違いのせいで、ほぼ確実に地方創生が上手くいかなくなってしまう。

そんなレベルの勘違いなんですよ。

 

ニャオ・ブランドー

そんなに確実?

コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実?

 

エコブラ塾長・阿部

ええ。ジョセフもびっくりするくらい確実です。

 

ニャオ・ブランドー

そんなにかニャ・・・

で、どんな「勘違い」なのかニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

実はですね…

 

 

「特産品至上主義」という落とし穴

エコブラ塾長・阿部

実は、相談に来てくれた人達は皆

「地域の特産品」

を売ろうとしてたんです。

 

ニャオ・ブランドー

特産品?静岡県のしらすみたいなものかニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

まあそうです。

 

ニャオ・ブランドー

だったら問題ないニャ?

そこでしか食べられないものなんだから、売れるに決まってるニャ?

町も人気出るニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

ところがそうもいかないんですよ。

 

ニャオ・ブランドー

どういう事ニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

ここで重要なポイントは2つあります。

エコブラ塾長・阿部

まずひとつ目が

「特産品という勘違い」

エコブラ塾長・阿部

そして二つ目が

「モノが売れればいいという勘違い」

です。

 

ニャオ・ブランドー

どういう事ニャ?

詳しく教えてほしいニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

わかりました。

 

 

それは「特産品」と呼べるのか?

エコブラ塾長・阿部

まずひとつめの

「特産品という勘違い」

についてです。

エコブラ塾長・阿部

まあ、一言で言ってしまえば、

「特産品でないものを特産品と勘違いしている」

という事です。

 

ニャオ・ブランドー

どういう事かニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

例えばニャオさん、ニャオさんの好きな美味しいしらすが日本のどこでもたくさん獲れるものだったらどうでしょう?

それこそニャオさんのお家のとなりの川でも獲れたら?

少なくとも今よりはしらすに対する価値は低くなりませんか?

 

ニャオ・ブランドー

うーん、同じくらい美味しいなら…

確かにそうなるかもしれないニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

ですよね?

どこでも手に入るものには、あまり特別感を感じませんよね?

 

ニャオ・ブランドー

確かにそうかもニャ。

そういえば昔、大富豪のスピードニャゴンから

「フェラーリは需要より1台少なく作る」

って聞いた事あるニャ。

だから希少価値が高まって、より人気が出るって事らしいニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

まさにおっしゃる通り。

ブランドの重要な要素として「希少価値」は外せません。

エコブラ塾長・阿部

ダイヤモンドはただの石。なのになぜあんなに高い値段で取引されるのかと言えば、欲しい人に対して提供できる数が限られている、つまり希少価値があるからです。

ダイヤモンドがその辺を掘ったらざくざく出てくる状況だったら、誰も高いお金出して買わないでしょう?

 

ニャオ・ブランドー

確かにニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

多くの人は

「ウチの特産品は●●なんです。だからこれを売りたいんです」

っておっしゃいますが、もしその特産品が

「他でも手に入れる事ができるもの」

だとすると、消費者目線でそれを買いたくなるかどうかとなると難しい。

 

ニャオ・ブランドー

「そこでなきゃ手に入らない」

という要素が重要なんだという事ニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

その通りです。

この時点で多くの人は「特産品」を勘違いしてしまっています。

 

エコブラ塾長・阿部

実はたいして人気がある訳でもないのに、自分たちが勝手に「特産品」だと勘違いしていたり。

 

エコブラ塾長・阿部

逆に気付いてないだけで非常に希少価値のあるものが存在しているのに、それに気付けていない。

という状況も起こりうるのです。

 

ニャオ・ブランドー

もったいないニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

ホントそうですよね。

そしてニャオさんのお言葉にもうひとつ付け足すとするならば、

「希少」と「希少価値」は別物なんだ

という事も言えるのです。

 

ニャオ・ブランドー

どういう事ニャ?

 

 

珍しければ売れるのか?

エコブラ塾長・阿部

つまり、いくら

「そこでなきゃ手に入らない」

という

「希少」

という要素があったとしても、

それに「価値」を感じられなければ意味が無い、という事です。

 

ニャオ・ブランドー

ただ珍しいだけじゃダメって事かニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

そういう事です。

もし不味いしらすだったら、いくら希少でも食べたくはならないでしょ?

 

ニャオ・ブランドー

まあ確かにそうだニャ。食べないニャ。

でもしらすに限って不味いなんて事は無いけどニャ。

しらすに謝るニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

ごめんなさい、しらすさん。

 

ニャオ・ブランドー

まあ許してやるニャ。

続きを話すニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

ホント、しらすになると人が、いや猫が変わりますね
(´Д`)

 

 

「モノを売る」という「落とし穴」

エコブラ塾長・阿部

ふたつめの要素は

「モノが売れればいいという勘違い」

というものです。

 

ニャオ・ブランドー

どういう事ニャ?

売れる事はいい事ではないのかニャ?

 

エコブラ塾長・阿部

もちろん、悪い事ではありません。

ただそれが「地方創生」に繋がるかとなると、話は別なんだという事です。

 

ニャオ・ブランドー

つまり、モノが売れても地方創生にならない場合もあるって事かニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

そういう事です。

例えばニャオさん、静岡のしらすと同じくらい美味しいしらすが、他の港でも獲れたとしましょう。

そうなったら静岡のしらすは食べなくなりますか?

 

ニャオ・ブランドー

確かに他のしらすに興味が目移りする時もあるかもしれないニャ。

でも僕はしらすだけじゃなくて、静岡という町も好きニャ。

だから静岡のしらすを食べなくなるという事は無いニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

そこなんですよ、ニャオさん。

 

ニャオ・ブランドー

???

 

 

何を「好き」になってもらうのか?

エコブラ塾長・阿部

今ニャオさん

「しらすも好きだけど、静岡も好き」

って言いましたよね?

つまり「しらす」という「商品」だけではなく「静岡」という「町」も好きになってもらうという事。

それが必要なんだ、という事です。

 

ニャオ・ブランドー

なるほどニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

もちろん、地方創生の目的が「特産品を売る事」なら、それでいいと思うんです。

でももし

「移住者を増やす」

とか

「観光に来てもらう」

という「人の流れ」を意識するならば、

「ものを売る事だけ」

では足りないんです。

 

ニャオ・ブランドー

そう言えば僕、とある桜が有名な観光地に行った時に、地元のお店の人の接客態度の悪さにショックを受けた事があるニャ。

桜というその町の「特産品」は良かったけど、多分もう二度とその町には行かないニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

観光あるあるですね(苦笑)

残念ですが確かに、そういう場所って結構ありますよね。

特産品だけ、つまり

「コンテンツ」だけ

に力を入れる事で生まれる悪い事例です。

 

 

コンテンツだけじゃ無駄無駄無駄無駄ァ!

ニャオ・ブランドー

しらすを買うだけならネットでもできるから、わざわざ行かなくても美味しく食べられるニャ。

ニャオ・ブランドー

でも、本当は沼津とか用宗とかの港に行って食べた方が楽しいニャ。

あの港の喧騒感。

潮の香りや波の音。

「海の幸を頂いてるゥゥゥゥゥ!」

って感じがするし、

「静岡のしらすは世界一ィィィィィィ!」

って感じがするニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

そういう事なんですよ、ニャオさん。

「特産品」という「モノ」だけではなく、それを取り巻く「環境」との「関係性」についても考える必要があるんです。

つまり

「コンテンツ」

に対する

「コンテクスト」

というやつですね。

 

 

「コンテンツ」と「コンテクスト」

エコブラ塾長・阿部

例えば僕、カレー好きじゃないですか。

 

ニャオ・ブランドー

まあよく

「俺の前世はクミンシード。いやカルダモンだったかも」

って訳分からない事言ってるもんニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

(ヒドイ・・・)

エコブラ塾長・阿部

ま、まあ、そんなカレー好きの僕ですから、全国のレトルトカレーをお土産で頂く事が多いのです。

(お土産、待ってまーす!)

そして、その中には本当に美味しいものも少なくないんです。

つまり商品として、「コンテンツ」としてはとても優れている。

 

エコブラ塾長・阿部

でもだからといってその町を好きになるか、行きたくなるかと言われると、それはまた別の話なんです。

そこには「関係性」つまり「コンテクスト」が希薄だから。

 

ニャオ・ブランドー

なるほどニャ。

モノを売ろうとするだけではなく、その町を好きになってもらうという

「関係性構築」のための工夫

もする必要があるという事なんだニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

Exactly(そのとおりでございます)

 

 

モノでつながった関係性

エコブラ塾長・阿部

ところで、さっきニャオさんが

桜が有名なとある町での嫌な出来事

について話してくれましたが、ああいうのはもう「地方創生」という意味では完全にアウトです。

エコブラ塾長・阿部

特産品目当てで観光客は来るでしょうし、お金も落としてくれるでしょう。

でも、だからと言ってその町が愛されるかどうかはまた別物です。

エコブラ塾長・阿部

そういう「モノで繋がった関係性」は、もしその「モノ」が何かの理由で無くなったらもうお終いなんです。

エコブラ塾長・阿部

例えば、その町の桜が何かの理由で咲かなくなったらどうでしょう?

当然人は来なくなるでしょうし、そうなると観光収入は激減するでしょうね。

個人的な意見ですが、そんなものは「地方創生」でも何でもないと思うのです。

エコブラ塾長・阿部

モノだけでつながって、心でつながっていない。

そういうつながりを作ろうとしない。

無礼を承知で言えばただの怠慢なんですよ。

 

ニャオ・ブランドー

地方創生って一言で言っても色々考える必要があるんだニャ。

難しいんだニャ。

 

エコブラ塾長・阿部

でも、だからこそ多くの人が笑顔になる、やり甲斐のある、素晴らしい仕事なんだと思いますよ。

 

ニャオ・ブランドー

よしッ!これから僕も色々考えるニャ!

まずは明日食べるしらすの量から考えるニャ!

 

 

編集後記(まとめ):「地方」を「創生」するという事

いかがでしたか?

「99.9%失敗する地方創生のポイント」

について、お伝えしました。

 

で、文中でも塾長が言ってましたが、そもそも論として

 

・「地方創生」とは何なのか?

・何が「地方創生」のゴールなのか?

 

という事について自分なりの答えを持っている人が少ないようです。

 

モノが売れる事が目指すゴールなら、それでもいいんです。

そのゴールを達成するためにすべき事をすればいい。

 

でも、別のゴールがあるのであれば、別の事をする必要がある。

その辺りを何となくでしか考えられていない人が少なくないと思うのです。

 

「創生」を辞書で調べると

「作り出す事」

つまり

「creation」

という意味なのだそうです。

 

モノを売っても、イベントを開催しても、ハコモノを作っても、何でもいいんです。

それによって、何が「作り出される」のか。

そもそも何を「作り出したい」のか。

 

根本となる

「コンセプト」

を疎かにしていては何にもならないのです。

 

あなたは、あなたの町をどうしたいのでしょうか?

今住んでいる人がどうなってくれたら嬉しいですか?

これからどんな人に来てほしいですか?

どんな人に住んでほしいですか?

 

よかったら一度、考えてみてほしいのです。

それがあなたの町の輝かしい「創生」につながりますから。

 

阿部 龍太

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