なぜ彼は、その仕事で大成できなかったのか? 〜「いのちの言葉」〜

「ライフデザイン」科

偉大な先人達から学ぶ「いのちの言葉」

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【新コーナー】偉大な先人達から学ぶ「いのちの言葉」 〜「情熱が持てない」というあなたへ 〜
「人の身体は、食べたものでできている」 とよく言われます。 間違いとは言いません。 でも僕は、これには100%同意できない。 「人はパンのみにて生くる者にあらず。 神の口から出る一つ一つの言...

 

さて、今回あなたにお伝えしたい「いのちの言葉」はこちらです。

 

「宗教とは、常に対話の可能性をはらんだ、単純素朴なる生活のすべてである」

(マルティン・ブーバー)

 

ユダヤ人哲学者のマルティン・ブーバー。

彼はユダヤ教徒でしたが、礼拝儀式といった宗教的な儀式を重視していませんでした。

代わりに彼が意識していたのは、日常生活すべてで神を感じること。

 

日常で出会う人を大切にし、日常で起こった出来事に真摯に取り組む。

宗教的な戒律や律法を守ることではなく、生きている時間すべて、生きている生命すべてを大切にする。

 

それが彼にとっての宗教活動というものだったのです。

 

え?

「自分は無宗教だから関係ない」

ですって?

 

だとしたら、大間違いですよ。

力一杯、大間違いです。

 

…というのが今日のお話です。

 

 

とあるカウンセラーとの出来事

とあるカウンセリングスクールで学んでいた時の事。

そこで一緒に学んでいた人(仮にAさんとしておきます)とご飯を食べにいったのですが、その時にAさんが(内容は伏せますが)カウンセラーとしてやってはいけない事をやってしまいました。

 

言ってしまえばAさんは、

 

カウンセリングをしている時だけカウンセラー

 

であり、

 

日常生活では別の存在

 

だった訳です。

 

つまりAさんは、カウンセリングをしている時のみ、カウンセラーとして必要な資質や能力を発揮し、普段の生活では、その資質や能力を全く使っていませんでした。

 

教会で神に祈りながら、家や職場で、他者を傷つけるような、そんな

「限定的な信仰心」

を彼は持っていたのです。

 

僕が言うのも何ですが、Aさんのカウンセリング技術は低くはありませんでした。

でもAさんはカウンセラーとしては致命的に未熟だった。

 

Aさんは

 

カウンセリングという「技術」

 

を目指してはいました。

 

しかし

 

カウンセラーという「生き方」

 

を目指していた訳ではなかったのです。

 

そんな人が、カウンセラーとして大成する訳がありません。

そしてまあ現実問題、その通りになっています。

 

 

あなたの仕事は何ですか?

あなたは何かの仕事をされていると思います。

その仕事で、多くの人を助け、喜ばせていると思います。

 

ただ、もしかしたら、その

 

「人を助け、喜ばせている力」

 

を発揮しているのは、その仕事の時だけではないでしょうか?

 

仕事ではお客様のため、会社のために心血を注いでいる。

でも、家に帰ったら、家族やパートナーのために愛情を注がない。

 

ビジネスパーソンとしては一流。

でも、一人の親、一人の大人、一人の人間ととしては狭量で稚拙極まりない。

 

僕はそんな人を僕は何人も見てきましたし、これは、完全に個人的な意見ですが、本当にもったいない事だと思うのです。

 

あなたがどんな仕事をしているとしても(少なくとも犯罪者でなければ)誰かを助け、喜ばせているはずです。

 

その生き方を、ほんの少しでもいい、あなたの人生すべてに応用できないでしょうか?

そうすれば、あなたの人生はもっと楽しく、もっともっと豊かになれないでしょうか?

 

あなたの素晴らしさは、あなたの「仕事だけ」で発揮するものではありません。

 

あなたの素晴らしさは、あなたの「人生すべて」で発揮できるものです。

 

それを是非一度考えてみてほしい。

 

そして、どんな小さな事でもいいから、日常生活すべてで、あなたの素晴らしさを発揮するような具体的な行動をしてほしい。

 

例えば僕がクライアントさんにお勧めしているのは、何かを買って支払いをする時に店員さんに「ありがとう」と言う事。

レストラン等で何かを食べて店を出る時に「御馳走様でした」と(できるだけ大きな声で)言う事。

 

仕事だけではなく、人生のすべてで、ほんの少しだけ人を喜ばせる事をする。

そういう人生を送る、という事です。

 

あなたの素晴らしさは、あなたの人生を素晴らしくするためのものです。

そのために、あなたの人生という時間、即ちあなたの「生命」を使ってほしい。

そう思っています。

 

 

阿部 龍太

 

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