「聖女」が教える「売れないお店」と「売れるお店」の根本的な違い

「ブランドデザイン」科

先日、ふたつのお鮨屋さんからブランド戦術のヒントを教えていただいた話を書きました。

 

【参考記事】

お鮨屋さんが教えてくれた「消えるブランド」と「生き残るブランド」の違い
お鮨。 「魚を旨くする」と書いて「お鮨」 何て分かりやすい文字、そして甘美な響きなのでしょうか。 それほど多くはないものの、今までいくつかのお鮨屋さんで旨いお鮨を食べさせていただきましたが、その中で...

 

前回は

ブランド「戦術」

についてお伝えしたので、今回は

ブランド「戦略」

についてお伝えしようと思います。

 

蛇足ですが「戦術」と「戦略」は全く違うものです。

企画や経営に関わる人は、このふたつの違いを理解しておくと色々お得ですよ。

この事についてもいつか機会があればお伝えしようと思います。

 

 

「なぜマーケティングを学んでも上手くいかないのか?」という問いに対する聖女の答え

さて、前回は

 

個々の要素のレベルと全体のバランス

 

というテーマで「質の高いビジネスモデル」というものを作る上で少し具体的な事をお伝えしました。

 

今回お伝えするのはこの「質の高いビジネスモデル」の

 

「土台」

 

というもの。

 

この「土台」が無いと、いくらマーケティングのノウハウを学んでも、成果に繋がりません。

 

では、その「土台」とは何なのでしょうか?

とある聖女の言葉をお借りして説明しましょう。

 

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

(マザーテレサ)

 

この言葉を借りるならば今回お伝えする「土台」とは、ここで使われている

「思考」

となります。

 

「意識」とか「在り方」

と言ってもいいでしょう。

 

例えばよく切れる包丁が、使う人によって

 

・美味しい料理を作る道具

・人を傷つけてしまう道具

 

どちらにも変わってしまうように、マーケティングのノウハウ「だけ」を学んでも、

使う人の「思考(意識・在り方)」

によって、

得られる「成果」

は変わってきます。

 

では、どのような意識でいれば、望ましい成果がついて来るのでしょうか?

 

それが前回の記事でお伝えした「ふたつのお鮨屋さん」から学ばせていただいた、もうひとつのポイントなのです。

 

 

「アーティスト」では売れない理由

どのような意識を土台にすればいいのか?

僕がクライアントさんにアドバイスをする時には

 

「アーティスト・マインド」

ではなく

「エンターテイナー・マインド」

 

という話をしています。

 

ちなみに、ここで使っている

「アーティスト」や「エンターテイナー」

とは、例えば

音楽家やデザイナー

といった「特定の職業」を指すものではありません。

詳しくは続きをお読みくださいませ。

 

さて「アーティスト」と「エンターテイナー」

このふたつの何がどう違うのか?

 

下の図を見てください。

 

 

図を見ていただければお分かりいただけると思いますが

「アーティスト・マインド」の中に「エンターテイナー・マインド」が含まれている。

という関係となっています。

 

ここで僕が言う「アーティスト・マインド」とは

 

「自分 “だけ” に意識が向いている」

 

というもの。

 

そして「エンターテイナー・マインド」とは

 

「自分と他者の “双方” に意識が向いている」

 

というものです。

 

別の言葉で言うのであれば

 

「自分だけが楽しければいい」

 

という意識と

 

「自分も相手も、互いに楽しみたい」

 

という意識の違いという事です。

 

マーケティング的な言い方をするのであれば

 

「自分の思い」

「お客様の悩みや課題」

を繋げられるかどうか

 

という事です。

 

ここが繋がらないと、いくら商品やサービスにこだわっても、そのこだわりはただの「独りよがり」になってしまいます。

 

例えば、現代においてファンの数が世界最多のブランドは

キリスト教(約20億人)

ですが、なぜそれだけのファンがついたのかと言えば、それだけ多くの人の悩みを解消した(まあ、そう言えない部分は少なからずありますが、ここでは敢えて割愛)からです。

 

 

とあるマーケッターの勘違いと、古き悪しき習慣

以前、あるマーケティングのセミナーで、講師の方が

 

「売上は、自分で作るもの」

 

という内容の話をしていましたが、少しズレているのではないか、と僕は考えます。

 

僕に言わせれば

 

「売上は、他人が作ってくれるもの」

 

となります。

お金を払ってくれるのはお客様なのですから、当然の話ではないでしょうか。

 

であれば、

 

いかに喜んでお金を払っていただくか。

 

そこを考えるのが重要であり、これが僕の言う

「エンターテイナー・マインド」

というものです。

 

特に、誰かを助けたいという思いが強い人ほど、この意識が必要です。

「こだわり」は少しズレるだけで簡単に「独りよがり」になり、あなたの重いとは裏腹に見向きもされなくなりますから。

 

とは言え、相手の事を思うあまり、自分の気持ちを押し殺していては、それもまた同様に「独りよがり」であり、意味がありません。

 

「滅私奉公」という言葉があります。

古くから「美徳」として使われてきたこの言葉。

しかし、少なくとも「今の時代の商売という場」においては、僕はこれはもう「美徳」とは言えないと考えます。

 

自分を滅するのも、奉公(立場の上下が前提となる)するのも、美しくはない。

そうではなく、

 

自分を活かす事で、相手を活かす。

自分も相手も、対等の関係。

 

それが僕の考える「美徳」

 

「これからの商売、これからのブランドに必要な土台」

 

というものです。

 

 

あなたなら、どちらのお鮨屋さんに行きますか?

前回の記事でお伝えしたふたつのお鮨屋さんは、まさにこの土台に違いがあった。

 

「旨い鮨さえ出せばいい」

という姿勢で、最悪の接客をした築地のとあるお鮨屋さん。

 

「旨い鮨を楽しんで食べてもらう」

という姿勢で、素晴らしい時間と空間を提供してくれた銀座のとあるお鮨屋さん。

 

もうお分かりかと思いますが、彼らの一番大きな違いは、今回お伝えしてきた「土台」にあった訳です。

 

あなたなら、どちらのお鮨屋さんに行くでしょうか?

よほどの物好きでない限り、後者のお店を選ぶでしょう。

 

であれば、あなたが目指すのも、後者のお店ではないでしょうか?

 

自分の才能を活かして、お客様の悩みや課題の解決をお手伝いする。

自分も、お客様も、喜べる。

 

そういう商売をしていきませんか?

 

そんなあなたを僕は応援したい。

なぜならば、それが僕の喜びなのですから。

 

 

阿部 龍太

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