「いいもの」なのに売れない本当の理由。

「ブランドデザイン」科

突然ですが、クイズです。

 

A.「いいものならば売れる」

 

B.「いいものだからと言って、売れるとは限らない」

 

どちらが正しいと思いますか?

 

今日はこの事について考えてみようと思います。

 

 

「いいもの」とは何なのか?

ちなみに僕がこのクイズに答えるとするならば

 

「条件付きでA」

 

となります。

 

もう少しその「条件」について具体的に言うのであれば

 

「単なるいいものではなく、“本当に”いいものであれば売れる」

 

という事になります。

 

逆を言えば、厳しい言い方かもしれませんが

 

「売れていないのであれば、それは“本当に”いいものではない」

 

という事になる訳です。

 

ここで

 

「“本当に”いいもの」

 

という表現を使いましたが、ここで明確にしておかなければいけないのが

 

そもそも「いいもの」とは何なのか?

 

という事です。

これについてきちんと考えなくては、

 

「いいもの(だと自分は思っている)なのに売れない…」

 

という残念な事になりかねません。

 

「いいものだからと言って、売れるとは限らない」

と言っている人の多くは、個人的にはここを誤解している事が多いように思います。

 

 

「本当にいいもの」とは一体何なのか?

以前の記事でもお伝えしたように、

「相手にとってのいいもの」

「自分にとってのいいもの」

は別のものです。

 

ここを間違えてしまうと、勘違いしたイタい人になってしまう。

自分でいくらこだわっていたとしても、相手にとって「いいもの」でなければ、そのこだわりに意味はありません。

 

「こだわり」が「ひとりよがり」になっていては、意味が無いのです。

 

とは言え、相手の望むものが「いいもの」なのかと言われればそれもまた違う訳で。

これも前回の記事でお伝えした通りです。

 

マーケティングを少しでも勉強した事がある人ならば、世間一般のアンケートが当てにならないという事はよくお分かりかと思いますが、

お客様が「欲しい」と言うものが、本当にそのお客様が欲しているものなのかと言われると、必ずしもそうとは限らない

という事なんです。

 

まとめて言うならば

 

「自分の思いを押し付ける」のでもなく、「相手にただ合わせる」のでもない。

「自分が考える喜びや願いや理想」を相手に伝わるように翻訳して伝える。

それに共感してくれた人に仲間になってもらい、その人達と一緒にその理想に向かって進んでいく。

 

これがブランディングにおける大前提となります。

そして今回お伝えしている

「“本当に”いいもの」

にも繋がる大前提でもあります。

 

 

「本当にいいもの」の定義

上記を踏まえて、僕の考える「“本当に”いいもの」とは

 

1.自分自身がいいものだと思えるもの

2.1のこだわりがきちんと相手に伝わり、その結果相手が魅力を感じるもの

 

この両立こそが

「“本当に”いいもの」の土台にあるもの

であり、ブランドになる前提条件となるものです。

 

中身も無いのに、マーケティングやセールステクニックで売ろうとするのも、

中身はあっても、それを伝えようとしないのも、

 

どちらも同じくらい残念な事だと個人的には考えています。

 

実際に、昔の知人で、あるサービスを販売している方がおられましたが、彼はとにかくサービスの内容よりも、マーケティングを重視していました。

 

マーケティングには力を入れていたから、フロントエンドのセミナーに人は来る。

でもその後の商品、バックエンドの高額セミナーはあまり売れない。

中身が無いからまあ当然の事です。

一度招待されて彼のセミナーに行った事があったのですが、なまじセールストークの勉強をしているものだから、中身の無さとセールストークの熱さのギャップで、参加されてる方々が若干引いているのが分かるくらいでした(笑)

 

そしてセミナーそのものも、リピートが少ない。

中身が無いからまあ当然の事です。

だから常に、新規顧客を獲得する必要が出てきます。

そうなると当たり前の事ですが、マーケティングに関するコスト、お金や労力や時間が毎回毎回かかってくる訳です。

 

彼を見ていると、個人的には不思議で仕方なかったですね。

 

あれだけマーケティングやセールスのテクニックがあるのだから、サービスそのものの内容を磨いたら、全然違う結果になるのに。

今よりもっと楽に、今よりもっと儲かるようになれるのに。

今よりもっと多くの人に、もっと感謝してもらえるのに。

 

望んで苦しんでいるようにしか見えなくて、本当に不思議でしたねえ。

 

マーケティングはもちろん重要なものです。

そして同時に、提供するものを磨く事も必須だと思うのですが、あなたはどう思いますでしょうか。

 

 

「良さを伝える」とはどういう事か?

同時に、真剣に仕事に取り組んでいて、人を喜ばせる素晴らしいものを提供されている方も知り合いにいます。

しかし、そういう方の多くは、その素晴らしさをあまり伝えようとしない。

 

伝わらなくては、その素晴らしさは存在しないのと同様なのに。

とても勿体無いと思うのです。

 

ところが、そういう方に、こういった話をすると

 

「売り込みは苦手なんです」

 

とおっしゃる方が少なくない。

 

そして、それこそが誤解なのだと僕は思うのです。

 

何が誤解なのか?

それは

 

「素晴らしさを伝える事」=「売り込みをする」

 

という点。

 

全くもって誤解です。

力一杯誤解です。

空前絶後、超絶怒濤の誤解です。

 

僕が言っているのは

「その商品やサービスを売る」

のではなく

「その商品やサービスの素晴らしさを伝える」

という事。

 

その商品やサービスが、

 

どんな価値を提供出来るのか?

どんな課題を解決し、どんな喜びを提供出来るのか?

使った人の人生がどんな風に変われるのか?

 

という事を、「きちんと伝える」という事。

 

そのためには当然ですが、

 

その商品やサービスの事を深く深く知る事が必要です。

その商品やサービスを自分が提供する理由を深く深く知る事が必要です。

その商品やサービスを使ってくれる人の事を深く深く知る事が必要です。

どういう言葉をどのように使えば「きちんと伝わる」のかを深く深く考える事が必要です。

 

売り込みをするのはその後の話なんですよ。

まずは「素晴らしさをきちんと伝える」事が先なんです。

 

だって、お客様があなたの商品やサービスの素晴らしさを感じてもらえなくて、買っていただける訳が無いでしょう?

 

 

「“本当に”いいもの」の根本にあるもの

先ほど、「“本当に”いいもの」というものを

 

1.自分自身がいいものだと思えるもの

2.1のこだわりがきちんと相手に伝わり、その結果相手が魅力を感じるもの

 

と定義しましたが、ここで

 

自分自身が何をいいものだと思うのか?

自分が考えるその「素晴らしさ」のどこをどう相手に伝えるか?

 

これを考える上で、重要どころかもう必須条件と言えるのは

 

「コミュニケーション」

 

となる訳です。

 

ブランディングにおいてはこの「コミュニケーション」が非常に重要な要素であり、それ次第でブランドの行く末は大きく変わります。

そしてこの「コミュニケーション」というものを、もう少し具体的に言うのであれば

 

「自分自身とのコミュニケーション」

「他者とのコミュニケーション」

 

この2種類のコミュニケーション、それが「“本当に”いいもの」を生み出すための根っことなるものです。

 

自分を知る。

他者を知る。

他者の集合体(世界)を知る。

 

それによって、あなたの可能性はどんどん開かれていきます。

 

より多くの人を、より深く感動させる事ができるようになります。

 

世界をほんの少しかもしれないけど、より善くする事ができます。

 

孫子が

 

彼を知り己を知らば、、乃ちからず

天を知り地を知らば、勝、乃ち全くす可し

—–

敵について知り、自分について知れば、勝利は難しいものではない。

天候やタイミング、そして地形をきちんと理解すれば、勝利は最早決まったようなものである。

(『地形篇』より抜粋)

 

と言っているのは、理にかなっている部分もあると思うのです。

(かなっていない部分もありますが、それは別の機会にお伝えします)

 

あなたには、あなたにしかない「素晴らしさ」があります。

今はまだ種の状態で、芽が出ていないかもしれない。

それでも、それは確実に「ある」のです。

 

まず、それを知る事。

そして芽を出し、育てていく事。

孫子で言えば「己を知る」事。

 

それが「“本当に”いいもの」を生み出すための第一歩です。

 

 

あなたの素晴らしさが、より多くの人に届きますように。

 

 

阿部 龍太

 

コメント

  1. 久野厚子 より:

    先ず写真に惹かれて開きました。
    読んで…素晴らしい内容に感謝とお礼を言いたくなりました。
    とても染み入りました。
    ありがとうございました。m(_ _)m

    • 阿部龍太 より:

      久野さん

      コメントありがとうございます。

      真面目で一所懸命な人ほどそれ故の勘違いをしてしまう傾向があるように思います。

      自分のこだわりで相手に喜んでもらえたら、それほど愉しい事は無いのではないか。

      そういう人を一人でも増やしたいと思ってこの記事を書きました。

      久野さんのお役に立てたのであれば嬉しいです。

      ありがとうございました!