偽物のエリートと本物のパリコレモデルから学んだブランディングのコツ

「ブランドデザイン」科

先日の事です。

 

駅の地下街を歩いていたら、とても素敵な2人組に出会いました。

そしてその2人から、とてもブランディングの役に立つ内容を学ばせていただきました。

今日はその時のお話です。

 

 

聞いてあきれる、エリートとの邂逅。

20代中盤から後半。

パリッとしたスーツを着て、スーツケースを引いている男女。

ふたりはどうやら同期のようで、研修か何かで久しぶりに顔を合わせたのか、歩きながら互いの職場の事を色々話していました。

 

ここでは、男性をジョー、女性をメアリーにしておきましょう。

(日本語の名前だと、同じ名前の人がいたらアレなので…)

 

ジョー(仮名):「って言うか、あの課長はねーわ。マジで空気」

メアリー(仮名):「あ、わかるー、熱が感じられないよね」

【メアリー(仮名)の上司に対する愚痴、省略】

ジョー(仮名):「俺達があのプレゼンでどれだけ苦労したのか、全然分かってないんだぜ、あいつら」

【ジョー(仮名)の手柄自慢、省略】

メアリー(仮名):「いいじゃない。あと3年くらいであの人達もいなくなるし、そうなったら私たちが主役になれるんだから」

ジョー(仮名):「だよな。俺達の腕の見せ所だよな」

 

・・・

 

読んでいただければお分かりのように、実はこのふたりの会話の内容は、どうでもいいんです(笑)

(こんな中身の無い内容読ませちゃってごめんなさい)

 

そんな事より、このおふたり、

お喋りしながら、駅の地下道の、人が二人しか通れない細い道を、二人並んでスーツケースをガラガラ引きながら、ゆっくり歩いていたんです。

つまり、道を塞いでゆっくり歩いているもんだから、後ろの人にとっては彼らは邪魔以外の何ものではない訳です。

 

実際に、彼らの後ろには、5人くらいの人が彼らのお陰でゆっくり歩かざるを得ない状況。

(ちなみに僕はその2人目くらいの場所にいました)

この細い通路は30mほどあったのですが、ジョー(仮名)とメアリー(仮名)は一度も振り向く事はありませんでした。

その間僕たちはずっと彼らの話に付き合わされていた訳です。

「どいてください」って、ひとこと言えば良かったんですが、別に急いでなかったし、それより二人の会話の内容に興味があってそのまま彼らの後ろを歩いていたのですが、思わぬいい経験をさせてもらいました(笑)

 

多分、彼らはその会社ではエリートなのかもしれません。

熱意もあるのかもしれない。

仕事ができる人なのかもしれない。

 

でも、人間としては致命的にアレな訳です(笑)

 

以前のこの記事でもお伝えしたように、本当のエリート、本当に出来る人というのは、仕事のときだけではなく、普段の生活からエリートであり、出来る人なのだと僕は考えます。

 

【参考記事】

日本一の小学生と、世界の名称が共有する「成功する人の創り方」

 

また、別のこの記事でも少し触れていますが、本当に仕事ができる人、本当のエリートとは、目の前の人だけではなくて、どんなに小さくても社会を善くする意識と力がある訳です。

 

【参考記事】

「目の前の人を幸せにしない」から「売れ続ける」本当の理由

 

社内やお店や会議室やスタジアムの中だけで、接遇やコンサルティングやコーチングや試合の時だけ人を幸せに出来ても、一歩外に出て仕事以外の人間関係で誰かを傷つけて社会のお荷物に成り下がるのであれば、それは僕に言わせれば

「薄っぺらい偽物のエリート」

なんですよ。

(そういう人が悪いとは言いません。恐らくその人は学びの途中なのだから。ただ僕は個人的にあまりそういう人とは一緒にはいたくないだけです)

 

 

本物のエリートから教えてもらったブランディングのコツ

エリートの彼らから教えていただいた事をブランディングに繋げるならば

 

「仕事の時だけではなく、24時間365日、全てがブランディングのための場なのだ」

 

という事なのですが、実はこれについて、別の分野のエリートの方がこんな事を言っています。

 

「身体の前面は見せる勇気を、身体の背面は見られる覚悟を」

 

これはあるモデルの方が教えてくれた言葉です。

2度程しかお逢いしていませんが、立ち居振る舞いの身体の動きやそこから漂うオーラが僕でも分かる程常人離れしていまして。

どうも変だと思って聞いてみたら、パリコレに出た事があるとの事。

常人離れしているのも納得です。

 

そんな彼が教えてくれたのは…

 

身体の前面は普段の生活の中、自分で見る事が出来る。

でも背面は鏡があっても、なかなか自分で見る事が出来ない。

つまり、自分で見えていない、気付けていない部分があるという事。

だからこそ、背面は普段から常に「他者に見られている」と意識して、姿勢を整える事が大切だ。

 

という内容でした。

 

「見せる」だけではない。

「見られている」という事も常に心に置いておく。

 

ブランドとは、「自分」の中から生まれ、「他人」が規定する事で形になるものです。

ですから、きちんとしたブランドを築くためには

 

「(他人に)見せる」

「(他人から)見られている」

 

この両方を意識しておく必要がある、という事です。

 

自分が気付いている部分、自分に見えている部分がこの世界の全てではない。

自分が気付いていない部分、自分に見えていない部分がこの世界には必ずある。

全てにおいて、そういう意識を持って歩んでいきましょう。

 

そういう事を、ジョー(仮名)もメアリー(仮名)も、モデルの彼も、教えてくれていると思うのです。

 

残念ながらジョー(仮名)とメアリー(仮名)には恐らく、この意識が無かったのでしょう。

自分たちに見える部分だけを見ていて、見えない部分を意識していなかった。

それでは残念ながら、彼らの善さの一部しか発揮されない。

とてもモッタイナイ事じゃないですか?

 

 

勘違いしないでください。

仕事の最中だけではなく「何気ない普段のひと時」に「見られている」という事を意識しつつ、その時の自分のベストのパフォーマンスを「見せる」

この意識と行動が大切なのだという事です。

 

それを体現しているある企業をひとつご紹介しましょう。

 

トヨタの社長も教えを請うという長野県の「伊那食品工業」さん。

ここでは

「企業活動だけではなく、社会に対しての責任も果たすべき」

という思想を持ち、仕事以外の場でも少しでも人の役に立つよう心がけているのだそうです。

 

スーパーやコンビニの駐車場に車を停める時は、なるべくお店の入り口から離れた所に駐車するのだとか。

そうすれば、お店に近い所に少しでも駐車スペースが出来て、荷物の多い方や妊婦さんやお年寄りの方にとって楽だから、という事なのだそうです。

 

そんな伊那食品工業さんの経営理念にはこう書かれています。

少し長いですが、引用させてもらいます。

 

二宮尊徳翁の言葉に、こんな言葉があります。

「道徳なき経済は犯罪である。しかし経済なき道徳は寝言である」と。

人間として、また企業にとってもモラル(道徳)は無くてはならないものだと思います。

社会人にとって、モラル、道徳を高くするということは、あたり前であり、必要な事ですが、漠然としてわかりにくいかもしれません。

「立派な社会人になりましょう」と言っても、どんな行為が立派なのかこれもはっきりとしません。

ですので、当社ではこう定義づけています。

社会人として立派かどうか。

まずは最低限の条件として人に迷惑をかけない事です。

そしてもう少し能力に余裕があるのであれば、少しでも人の役に立てるように努め、人をどれだけ幸せにしたかがそのものさしではないかと思います。

伊那食品工業さんwebサイトより抜粋)

 

仕事の最中も、仕事以外の場でも「伊那食品工業の社員として必要な事」をしているという事ですね。

 

もう現代は、仕事の時だけいい格好をしてればいいという時代ではありません。

実際に、仕事以外の所で問題行動をして世間を賑やかしている有名企業の人、少なくないですよね?

○○○の社員が電車で痴漢したとか、○○○の偉い人が酒に酔って暴力ふるったとか。

そういう仕事を離れた一個人の行動が、その組織のブランドを毀損してしまう訳ですし、もちろんその逆もあり得る訳です。

 

勘違いしないでください。

あなたは、ただ商品やサービスを提供するだけの人ではありません。

あなたは、多くの人をあなたなりの手段で喜ばせ、世界を少しでもより善くできる、そんな人なのです。

 

ご自身の影響力を甘く見ないでください。

人を笑顔にする影響力を、どしどし出していってください。

 

応援していますよ。

 

 

阿部 龍太

 

 

 

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